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小林亮太×山田健登インタビュー 『ブラッド・ブラザーズ』「人生の分岐点と、作品に懸ける思い」(後編)

INTERVIEW

2026年3月9日よりシアタークリエにて、ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』が上演されます。

1983年のイギリスでの初演以降、ブロードウェイをはじめ、ドイツ、オーストラリア、韓国などで上演され、巧みなストーリー展開と楽曲の素晴らしさを最大の魅力としながら、階級社会を背景に親と子、兄弟の絆、人間の運命という、国境を越えた普遍的なテーマをもつ本作。1983年にはローレンス・オリヴィエ賞の最優秀新作ミュージカル賞を受賞。

1993 年から2年間ブロードウェイでも上演、1993年のトニー賞最優秀ミュージカルにノミネートされた後、現在も世界各国で上演され、日本でも1991年以来、繰り返し上演されてきた名作が、満を持して2026年3・4月、シアタークリエで、東宝製作作品としてはおよそ16年ぶりに上演されます。

演出を務めるのは、演劇界を代表する演出家の1人、日澤雄介さん。出演は、舞台『鬼滅の刃』 竈門炭治郎役で主演を重ね、ミュージカル『フランケンシュタイン』でビクター・フランケンシュタイン/ジャック役で主役を演じ、情感豊かな表現力を見せた小林亮太さんと、ミュージカル『ダーウィン・ヤング 悪の起源』の主演ダーウィン・ヤング役をはじめ常に観客を惹き付ける演技を披露、『デスノート THE MUSICAL』で主人公・夜神月役を演じた渡邉蒼さんが、Wキャストでミッキーを務めます。

エディには、ミュージカル『テニスの王子様』手塚国光役で不動の人気を獲得、2024~2025年の帝劇クロージング公演『レ・ミゼラブル』のマリウス役で瑞々しい演技を見せた山田健登さんと、ミュージカル『フランケンシュタイン』でアンリ・デュプレ/怪物役、ミュージカル『四月は君の嘘』でクラスで人気者の高校生・渡亮太役と、幅広い役柄で観客を魅了した島太星さんという、今、ミュージカル界で最も注目を集めるフレッシュな顔ぶれが揃いました。

THEATER GIRLは、Wキャストでミッキーとエディを演じる小林亮太さんと山田健登さんにインタビュー。後編では、日澤雄介さんの演出の印象や稽古場で感じている手応え、俳優人生の分岐点となった出来事、さらに稽古や本番前のルーティンや作品に込める思いについてお聞きしました。

ここまで芝居を深く掘り下げていく稽古はあまり経験がない

小林:今回、僕がずっと念頭に置いているのは、「豊かな想像力でこの台本と向き合おう」ということです。比較的早い本読みの段階で日澤さんがそうおっしゃっていて、それがとても印象に残っています。

稽古が始まって、3ヶ月くらい同じ台本と向き合っていると、どうしてもある程度形が定まってきてしまいます。もちろんみんなで作っていくものなので、作品として固めていかなければいけない部分もありますが、同時に「まだ別のアイデアがあるのではないか」と考え続けることも大事だと感じています。その姿勢は今も自分の中で大切にしているところです。

それと、日澤さんは稽古場では俳優同士が瞬間的にぶつかって生まれるものをとても大事にしてくださっていて。その一方で、戯曲として通すべき筋や、このシーンでお客さまに何を渡さなければいけないのか、といった構造的な部分も丁寧に見てくださいます。

僕自身、「劇団チョコレートケーキ」さんのお芝居を拝見して、俳優の皆さんの熱量がとても高く、持っている言葉の球を力強く投げているような印象を受けました。自分の内なる感情を昇華する際に、どのレベルで表に出すかを僕らは稽古で考えてますが、日澤さんは、役者同士が互いの演技に影響を与える為にどう表現したら良いかを見極めてくださっている印象があります。

その中で生まれるドラマを大切にしてくださるので、僕自身、これまでミュージカル作品への出演はそれほど多くはありませんが、ここまで芝居を深く掘り下げていく稽古はあまり経験がなく、とても貴重だと感じています。本当に幸せな環境だと思います。

小林: はい。なので、ミュージカルの稽古場に来ているのですが、ストレートプレイの稽古をしているような感覚です。

山田:改めてありがたい環境にいると感じますし、この『ブラッド・ブラザーズ』が終わる頃には、自分の中の階段を1つ上がれているのではないかと思っています。それくらい濃密な時間を過ごさせていただいているなと。日澤さんは、素晴らしい指導力をお持ちの演出家だと思います。

小林:実演もしてくださるしね。

山田:そうなんです。それが本当にお上手なんですよ。

小林: 説得力のあるお芝居をしてくださるよね。

山田:言葉だけでは理解しきれないことも、日澤さんは実演してくださるので腑に落ちるんです。しかも伝え方が優しい。「こうして」ではなく、「こういうのもあるんじゃない?」と提示してくださるんです。俳優の意見もきちんと聞いてくれて、「じゃあこうしようか」と寄り添ってくださるので有難いです。

お二人の人生の中での大きな選択とは……!?

小林:僕は、ミュージカル『フランケンシュタイン』にお声がけいただいたときが大きな分岐点でした。正直「無理だろう」と思いましたし、「何かの間違いではないか」と感じたほどです。

怖さもありましたし、自分がその壁を越えられるのかもわからなかったのですが、それでも、せっかくいただいたチャンスなら挑んでみようと覚悟を決めました。あのときの決断があったからこそ、今この作品にも出会えていると思いますし、『フランケンシュタイン』との出会いは間違いなく大きな転機でした。

小林:本当にそうです。まだミュージカルのいろはもよくわかっていない状態だったのですが、あっきーさん(中川晃教さん)や(加藤)和樹さんをはじめ(島)太星くんなど、皆さんから学ばせていただいたことは、本当に計り知れないです。

そして、あれだけ大きなカンパニーでも家族のように思えて、より一層自分をさらけ出せるようになった実感があります。それも含めて大きな収穫でした。

小林:今回もそうですが、男の友情を演じさせてもらえるのは本当にありがたいです。お互い死に物狂いで挑むからか、疑似兄弟のような、友達を超えた存在になる瞬間があって。今回のバディ・健登もそうですし、そういう出会いが増えていくのは俳優として本当にうれしいことです。

山田:分岐点で言うと、僕はミュージカル『テニスの王子様』が大きかったですね。それまでは九州で活動をしていて、あの作品が僕を東京に連れてきてくれたんです。

もしあの出会いがなければ、今も舞台に立っていたかどうかわかりませんし、東京にいたかどうかもわからないので、本当に感謝しています。

山田:続けて来て、すごく良かったと感じています。実は、最初は音楽をやりたくて上京したので、お芝居やミュージカルをやるとは思っていませんでした。でも飛び込んでみたらどんどんハマっていって。今では音楽と同じくらい好きです。

「これをやると落ち着く」稽古や本番前のルーティン

山田:僕は、歯磨きです。歯を磨くとすっきりして、そのまま気持ちよく出られるんです。稽古前も本番前にもやりますし、自分の中ではわかりやすい切り替えになっています。シャキッとするというか、気持ちが整う感覚があります。

小林:僕は水風呂、正確にはコールドシャワーです。稽古中もずっと続けていますし、朝起きたらまずお風呂に入って、水を頭から浴びます。今の時期はかなり冷たいですが、頭を冷やすってこういうことかと思うくらい、一気にスッとするんです。

それで全部の感覚が目覚めるわけではありませんが、現場に行く前のスイッチになっています。割と長く続けていて、冬でもやっています。朝が早い日や、どうしても起きなければいけないときにはおすすめです。

山田:僕は今日ホットシャワーだったので、次からコールドにしてみます(笑)。

山田:僕たちは毎日、全力で作品に向き合っています。何か一つでも心に届くものがあればという思いで稽古をしていますが、本番でも勿論、その姿勢は変わりません。ご覧いただいた皆さんが何かを受け取って帰ってくださったらうれしいです。ぜひ楽しみにしていてください。

小林:本作は悲劇と言われる作品で、ラストに待ち受ける展開は衝撃が強いかもしれません。それでも、そこに至るまでにそれぞれの登場人物が自分の人生をより良くしようと、選択を重ねる物語です。当時のリバプールの人々は、人生を前へ進ませようとする強いエネルギーがあったと聞きました。僕たちもそのエネルギーを大切に作品を作っています。

3月、4月は学期末や新生活の始まりなど、何かを選択する時期でもあると思います。この物語をご覧になって「もし違う道を選んでいたらどうなっていたのだろう」などと、思いを巡らしていただければ嬉しいです。誠心誠意努めてまいりますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけましたら幸いです。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:Jumpei Yamada

【小林亮太】
ヘアメイク:田中宏昌(アルール)
スタイリング:石橋修一

【山田健登】
ヘアメイク:SUGA NAKATA(GLEAM)
スタイリング:MASAYA(PLY)

公演概要

ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』

<出演>
ミッキー:小林亮太/渡邉蒼(Wキャスト)

エディ:山田健登/島太星(Wキャスト)

リンダ:小向なる

サミー:秋沢健太朗

ナレーター:東山義久

ミスター・ライオンズ:戸井勝海

ミセス・ライオンズ:瀬奈じゅん

ミセス・ジョンストン:安蘭けい

菊地まさはる 白鳥光夏 菅井理久 田代明* 千葉由香莉 花咲まこと* 平山トオル
*(スウィング)

<スタッフ>
脚本・作詞・作曲:ウィリー・ラッセル
演出:日澤雄介

翻訳:伊藤美代子
訳詞:小林 香
音楽監督:松田眞樹
振付:北尾 亘
美術:長田佳代子
照明:松本大介
音響:山本浩一
衣裳:半田悦子
ヘアメイク:柴崎尚子
擬闘:栗原直樹
歌唱指導:tekkan
稽古ピアノ:久野飛鳥
バンドコーディネート:東宝ミュージック
演出助手:長町多寿子 小貫流星
舞台監督:和田健汰

制作 いとうちえ
プロデューサー:増永多麻恵、柴原 愛

<公演スケジュール>
2026 年3月9日~4月2日 シアタークリエ

ツアー公演:2026年4月10日~4月12日 大阪 サンケイホールブリーゼ

<公式サイト>https://www.tohostage.com/blood_brothers/

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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