小西遼生インタビュー ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』 「純粋な演劇は想像力を豊かにするもの」
――小西さんが思う『ピーターパン』の物語の魅力について聞かせてください。
僕の尊敬している演出家ジョン・ケアード氏に以前言われた言葉があるのですが、「芝居をすることは英語で“play”って言うんだよ」って。要は芝居とは遊ぶという意味があるんだよと教えてくれました。このピーターパンという作品は、その“play”という感覚でお芝居をするのに最も適した作品なんじゃないかと思っています。ネバーランドの世界も役者にとってはある意味ごっこ遊び。観る人達にとっても、そういう生き生きと楽しんで演じている様を観ることができたら、ネバーランドという世界を信じられると思います。人の想像力で無限の可能性を感じられるところも、この『ピーターパン』という作品の魅力だと感じていて。
観る側にとってもやる側にとっても、演劇というものはすごく想像力が必要なものなんですよね。でも今は技術の進化で演劇でも映像を駆使した視覚的な見せ方で事象を具現化することも多い。それも現代でこそ表現出来る新しい演劇の形だけど、僕はどちらかというと、想像力を豊かにする、観る側にとっても演じる側にとっても、その人の頭の中に委ねられるものの方が興味が深くて、実はそれが一番演劇の良いところなんじゃないかとも思っています。このピーターパンという作品は、それを感じることができる作品だと思います。
――本作の楽曲の印象はいかがでしょうか?
『ピーターパン』の楽曲ってかなり多彩で多国籍なんですよ。特に僕が演じるフック船長と海賊たちの音楽って、タンゴ、タランテラ、ワルツと、広い世界を股にかける海賊らしさが楽曲の振り幅で表現されていて。例えばテーマパークに行くと、様々な世界が広がり混じり合ったりしていて、そういうのってみんな好きじゃないですか。
『ピーターパン』という作品はそういう意味でも、心がウキウキするような音楽がたくさん詰まっていて、現場で演奏を聴いていても、どの曲もワクワクするし、とても純粋で美しいんですよね。現代的で複雑な音楽じゃなくクラシックだし。僕はそういう音楽や世界観もとても好きなので、今回東京公演では21年ぶりにそれらの楽曲を生オケで上演出来るのがとても楽しみです。