成河インタビュー 舞台『検察側の証人』 「自分が陪審員として座らされてしまっている、そんな作品になる」
――現在、舞台『森 フォレ』の本番中で(取材時)、並行して『検察側の証人』の稽古も行われています。気持ちの切り替えはうまくいくものですか?
もう稽古場に来ちゃえばやるしかないんでね。自分が気持ちを切り替えるっていうより、周りに切り替えてもらうって感じじゃないですか。たぶん、いろいろ掛け持ってる方はみなさんそうなんじゃないですかね。「大丈夫かな」「無理だわ、今日絶対無理だわ」って思いながら行って、他の人の芝居に「ヤベッ!」ってなって切り替わるっていう。
「○○をして切り替えるんです」とか言ってる人は、格好つけてるだけですよ!(笑)僕は少なくとも危機感とか焦燥感でしか変われないですね。未熟なだけなのかもしれないけど、現場ですごくいい芝居を見せられたりしたら、「俺もやんなきゃ」みたいな気持ちになりますから。
だから、心掛けとしてはなるべく人を見るようにしています。「自分でなんとかしなきゃ」とかってことでは、僕は解決しないんですよ。他の人がいつもしていないウォーミングアップをしていたり、すっごい一生懸命何かやってるのを見て、「ヤバい」「うわ、格好いいな」って思うと切り替わりますね。
――周りからの刺激が大事なんですね。最後に本作への意気込み、見どころを伺えますか?
今回の作品って古い演劇なんですけど、実は客席に座って演劇を観るっていう体験をものすごく上手に、逆手に取って生かした作りなんですね。“参加型のイベント”ってよく聞くし、言葉が独り歩きしてるからすごくぼんやりした意味になってる気がするんですけど、とても具体的に参加型です。
きっと、「こんなふうに客席に座る経験って実はそんなにないな」みたいな感覚があると思います。自分が陪審員として座らされてしまっている、そんな作品になるものを今まさに作っている最中です。ちょっとほかでは味わえないような客席の体験を楽しみにぜひご来場ください!
取材・文:鈴木旭
Photo:青木早霞(PROGRESS-M)
公演概要
『検察側の証人』
作:アガサ・クリスティ
翻訳・演出:小川絵梨子
[出演]
小瀧 望(ジャニーズWEST) 瀬奈じゅん/大滝寛 浅野雅博 寺西拓人 斉藤直樹
林 愛夏 西川大貴 阿岐之将一/那須佐代子 梶原 善/成河
[日程・会場]
【東京公演】
日程:2021/8/28(土)~9/12(日)
会場:世田谷パブリックシアター
【兵庫公演】
日程:2021/9/16(木)~9/20(月・祝)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【大阪公演】
日程:2021/9/23(木・祝)~9/28(火)
会場:枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール
公式サイト
https://www.kensatsugawa.com/
あらすじ
物語は、容姿端麗な青年レナード(小瀧 望)が資産家で独り身の婦人を撲殺した殺人容疑で起訴されるところから始まります。彼は全くの無罪を主張しているものの、状況証拠は彼に不利なものばかり。
――道で困っている婦人をレナードが助けて以来交流が始まったこと、事件当日も被害者宅を訪ねていたこと、事件当時、彼は無職で金に困っていたこと、そして、彼には確実なアリバイが無いこと――。
レナードはあえなく逮捕され、敏腕検事のマイアーズ(成河)が事件を担当することに。
彼を裁く法廷が開かれ、法廷弁護人と検事の答弁が白熱の応酬となる中、唯一のアリバイを妻ローマイン(瀬奈じゅん)が証言する、はずだった。しかし、法廷に立った彼女が口にした言葉は、彼から『婦人を殺した』と告白された、という検察側の証人、としてのものだった……。