佐奈宏紀×君沢ユウキインタビュー『Paradox Live on Stage』 「圧倒的なクオリティーでぶち抜きたい」(後編)
――佐奈さん、君沢さん、それぞれお互いにどんな役者だと感じていますか?
君沢:佐奈くんはもう面白いですよ。ほかの作品でもいっぱい共演したい。面白いアイデアを思いつくセンスもあるし、その一方で意外と気遣い屋だし。チャランポランしているふうに見えて、すごく信念があったりもする。自分を掴ませないようにしてるのかなってくらい(笑)。本当はちょっとシャイかなと思ったり、こっちが気になっちゃう俳優さんですね。
たぶん周りの俳優はみんなそう感じてると思いますよ。お客さんも、見るたびに佐奈くんの雰囲気が違うのを魅力として感じてるんじゃないですかね。もし僕が演出家だったら、今までと全然違う役をやってほしい。そう思わせるタイプなんですよ。
佐奈:ありがたいですねぇ~。君沢さんは僕の理想の地にいるなって感じなんです。僕自身、“オモシロ”(面白い演技)が好きなんですけど、演じていて実際に楽しいのはマジメなお芝居。「どれだけ考えるか」みたいなところにやりがいを感じるんです。
ただ、本当に難しいのってオモシロだと思います。オモシロができればシリアスもできる。でも、シリアスができてオモシロができる人はけっこう少ない。君沢さんはオモシロでありながら、格好いいんです。僕が思ってるオモシロって、ちょっと気持ち悪かったり変だったりするんですけど、それと格好良さが同居してるってちょっと真似できない。
僕がオモシロをやろうとすると、自分の持っているものが全部なくなって、ただの気持ち悪い変なヤツみたいな感じになっちゃうんです(笑)。だから、両方はできなくてゼロか100。君沢さんからは盗みたいものばっかりで、「こうなりたいな」っていつも思わされます。いろんな俳優さんがいますけど、ここまでそう感じる先輩は君沢さんぐらいですね。
君沢:今度何か奢ります(笑)。佐奈くんは、「そこのボタン押せるの?」みたいなことをやるんですよ。みんな怖いから手前から押してくのに、佐奈くんは一番奥から押していくから。
佐奈:そういう塩梅も、どんどん盗んでいきたい(笑)。君沢さんのオモシロって、その時は面白くてめっちゃ笑うんですけど、終わった後に「格好良かったね」なんですよ。「面白かったね」よりもそっちが勝つんです。そこがすごいなって思いますね。