佐竹桃華、演出・西条みつとしインタビュー 『ゆらり2021』 「終わった後に家族に会いたくなるような作品」
――佐竹さんは、実際に西条さんの演出を受けての印象はいかがでしょうか?
佐竹: 西条さんの伝え方がすごく的確でわかりやすいので、スッと入ってきますし、わからなかったら聞きやすい空気感を作ってくださるので、とても勉強になります。西条さん自身が見本で演じてくださるのが本当に面白いので、どうやったらそのようにできるだろうと悩んだりもしますが、とても勉強になるので、本番までにもっと吸収して良いものを見せられたらと思います。
――今作『ゆらり2021』は、とある民宿で起こる暖かく切ない家族の物語とのことですが、作品の見どころについて聞かせていただけますでしょうか。
西条:本作は親子のお話なのですが、作ったのは、7、8年前くらいになります。人生での“絆や繋がり”というものをテーマに作りたいなと思って脚本を書きました。
今年団体が10年目なんですが、うちとしては記念の公演で。コロナ禍になってから2年近く舞台をやっていなかったんです。それでこういった状況下でもやっていこうと決意したときに、この作品をやりたいなと思って。初演のときに出ていた人や新しいメンバーもいて、繋がったこのキャストたちと一緒に何かメッセージを伝えられたらと思い上演することを決めました。
――脚本を書かれたのは結構前とのことですが、今のコロナ禍の時代にもマッチした内容になっている感じでしょうか?
西条:自分としてはそう感じています。この2年、舞台や映画を観に行っても、今までお客さんが入っていた映画や舞台ですら、やっぱり少し閑散としていて。この業界でやっているものとしては辛いけど、どうにもできないと思ったときに、「鬼滅の刃」の映画を平日の朝7時くらいに観に行ったんですよ。そしたら平日の朝7時なのに、500席くらいのキャパが満席で。
「鬼滅の刃」は観たことがなかったけど、流行っているし一応観ておこうくらいの気持ちで行ったんですけど、なによりもその光景に感動して。あんなに楽しそうな客席を見たのは本当に久しぶりでいいなと思いました。それで、来年10周年記念の舞台があるなと思ったときに「ゆらり」をやろうと。親子や絆ということをその時に感じたんですよね。