キムラ緑子インタビュー 舞台『有頂天作家』「改めて声に出して台詞を読んだとき、以前の感じとは違うものになっていました」(後編)
INTERVIEW
――キムラさんが演じる前田奈津は花街で働く女性たちの手紙の代筆業をされている役柄ですが、キムラさん自身が大切にしている言葉はありますか?
私は「人生を好きで固める」という言葉が好きなんですよ。これはずっと昔から変わらないです。漫画家の友だちが昔描いていた漫画の中の一つの言葉なのですが、めちゃくちゃいい言葉だなと思って。
――実際には、どんな「好き」が今周りにありますか?
というよりは、好きなことしかしないと決めていますね。想像して、「こっちとこっちだったら、どっちが楽しいかな?」とか、「どっちの方が自分は楽?」とか。いつも自分の心に訪ねて、それで楽しそうと思った方を選んでいます。
――ご自身との対話を大事にしているのですね。
聞いたら分かるんですよ。どっち食べたいかな? と想像して、こっちだなとか。そういう感じです(笑)。
人生は調子に乗るときがあっていい、「想像以上の力が出る」のが有頂天
――今回『有頂天シリーズ』は4作目になりますが、キムラさんが実際に有頂天を感じる瞬間はありますか?
有頂天……ありますね。調子に乗っていた時期が。でも人生は調子に乗らないと(笑)。調子に乗るときがあっていいんですよ。なかなか乗れなくもなってくるでしょう(笑)?目が見えない、足が痛い、腰も痛いとか言っていたら、調子に乗れずにいつも嘆いているなと思っちゃったり。
今思えば調子に乗れていたのも夢みたいな時間だったなと思いますけど、振り返ったら馬鹿みたいな時代でもある。でも、若いころは確かにありましたね。
――実際に「有頂天」のときは、どんな気分ですか?
想像以上の力が出るときですかね。自分のものとは思えない、びっくりするような力が出たり。きっとそれが「有頂天」なんですよね。