田村升吾が役と向き合う謙虚な姿勢「ひたすら、がむしゃらに頑張るだけ」【シアダン vol.08】(前編)
――これまで出演された作品の中で、特に思い入れの深い作品や役柄はありますか?
僕はこれまで、ひとつの役を長いスパンで演じさせていただくことが多かったので、特にどれがというより、本当に全部の役への思い入れが深いんですよね。思い出もそれぞれだし、キャラの良さもちがうので、ひとつだけを選ぶことは難しいんですけど。ひとつひとつ、長く付き合ってきた役なので、それぞれに対して愛がすごくあります。
――では質問の方向性を少し変えまして、ターニングポイントになったと感じる、あるいは「ここで殻を破れた気がする」と思う作品を挙げるとするなら?
うーん、自分としては「成長できた」と思うのもおこがましいんですが……(苦笑)。それでもやっぱり、ミュージカル『刀剣乱舞』という作品に篭手切江役として携わることができたのは、自分の中ですごく衝撃的なできごとでしたね。今までにないさまざまな経験ができたなと思います。
カーテンコールで感じる喜び「お芝居は素敵だ」
――役者というお仕事をされていて、喜びを感じる瞬間を聞かせてください。
今は舞台をメインやらせていただいていることもあって、カーテンコールの瞬間ですね。みんなで舞台上に一列に並んで、最後に客席のみなさまへ挨拶をするんですが、どの作品であっても、何度やっても、感謝の思いも含めていい気持ちになるんです。自分も感動しますし、お客様も感動してくれているのを目の当たりにすると「お芝居って素敵だな」って思います。
――あの時の会場の空気感は、何にも変えがたいものがありますよね。では、稽古中に「よし!」と手応えを感じるような瞬間は?
稽古中に「よし!」って思うことはあんまりないんです(苦笑)。何か掴めたという感覚よりは、「悔しいな」という思いを抱えながら、毎回稽古場から帰っているので。だからこそ、幕が上がって舞台に立った時に、それを観てくださるお客様がいて「あぁ、よかったな」と思える瞬間があるんだと思います。