和田琢磨インタビュー舞台『薔薇王の葬列』「人間の欲深さ・愚かさが描かれる物語に演じがいを感じます」(後編)

2022.05.24

INTERVIEW

――今回、和田さん自身が楽しみにしている新たな自分に期待していること、新たな挑戦についても伺えますか？

ヘンリーという役はほかの登場人物たちと比べると物理的な派手さがないので、どのように印象付けるか、そこは挑戦だと思っています。「これをやって、あれをやって」というよりは、「これをなくして、これをなくして･･･でもどれだけ印象を残せるか」という“引き算”の芝居になるのかな？　役者を始めて今年で12年目になりますが、その間に自分の中で経験として蓄積してきたものを引っ張り出して「あれが必要」「これは今回は必要ではない」といった感じで取捨選択していくことが求められるのだろうと感じています。

――ところで本作では登場人物たちの葛藤や苦悩が描かれますが、和田さんが仕事をしていく中で“葛藤”や“苦悩”を感じることはあるのでしょうか？

現在進行形でありますね。例えば今出演中の舞台『刀剣乱舞』の共演者の方たちは1公演終わる度に「マチネ終了しました」「今日もありがとうございました」とかマメにSNSを更新しているんですけど、自分はそういうのが苦手で･･････。役者を始めた10年前はTwitterも盛んではなかったし、そんなこと考えてもいなかった。「ファンの方には、たくさんそういった言葉とか姿を見せた方がいいんじゃないか」と思いつつ、あまりそういうのは得意ではないので、葛藤は常に感じています（苦笑）。

――頻繁に更新するようになったら、それはそれで和田さんっぽくない気がします（苦笑）。「どうしたの？」「何かあったの？」と心配になるかも。

あはは！　まぁ、ファンの方たちは「それが和田さんのペースだから」と分かってくれていると思いますけどね。自分は演じることが好きで役者を始めたのに、演じること以外も知ってもらおうとしなきゃいけないのかとか、そういう葛藤はありますね。

――お芝居の面で「大変だったな」みたいな経験はありましたか？

舞台『刀剣乱舞』は、肉体的にすごく酷使するんですよ。以前は回復も早かったけど、最近では次の日に疲れが残っていたりするので「自分もそんなにもう若くないな」っていうのは感じますね（笑）。

――今回の『薔薇王の葬列』でも殺陣があると思いますが？

多少はあると思いますが、ヘンリーは逃げて逃げて避けて避けてっていう殺陣になると思います。

「掛け持ちはしない」というスタンスでやっている

――これから稽古が始まりますが、和田さんが稽古への取り組み方や大事にしていることがあれば伺えますか？

「ひとつの作品をやっている時は、その作品しかやらない」ってことですね。事務所の理解もあって、デビュー1年目から「目の前の作品に集中したいので掛け持ちはしない」というスタンスでやらせていただいています。

――とはいえ、途切れることなく次々と作品に出演されていますから、気持ちの切り替えとかも大変そうですね。作品の区切りで何かリフレッシュ法みたいなのはあるんですか？

自ずと場所と人が変わると気がまぎれるといいますか･･････。

――スイッチが切り替わるように？

そうですね。ありがたいことに共演者の皆さん素敵な方ばっかりなので、そっちにいったらそっちに楽しい人がいるし、こっちに行ったらこっちに楽しい人がいる。それが勝手に気持ちの切り替えになっているのかなって思いますね（笑）。あとAB型なので、割とあっちの現場もこっちの現場も楽しめちゃうタイプなんですよ（笑）。

――最後に、舞台を楽しみにしている皆様へメッセージをお願いします。

原作『薔薇王の葬列』が好きな方、原作を全く知らない方、誰が見ても楽しんでいただけるような作品にしたいですし、そうなるという自信がありますので、ぜひ生の舞台を観に来ていただきたいです。見どころは何といってもリチャードがWキャストなこと！　お二方それぞれの魅力あふれるリチャードを観ていただきたいです。彼らがそれぞれ違うように、そのお芝居に影響を受けた共演者の芝居も変わって来るでしょうから、願わくば2回劇場に足を運んでその違いも観ていただきたいですね。ぜひ期待して劇場にお越しください。