黒羽麻璃央インタビュー『生きててごめんなさい』「頑張っている皆さんの気持ちに、そっと寄り添える作品になれば」（後編）

2023.02.01

INTERVIEW

2023年2月3日より、シネ・リーブル池袋、ヒューマントラストシネマ渋谷、ほかにて公開される映画『生きててごめんなさい』。

主人公・園田修一役にミュージカル『刀剣乱舞』シリーズやミュージカル『エリザベート』など多くの舞台や映像作品に出演する黒羽麻璃央さん。修一と同棲中の恋人・清川莉奈役に映画『少女邂逅』『街の上で』での繊細で透明感あふれる演技が注目を集める穂志もえかさん。

共演には、大手出版社の編集者で修一の高校時代の憧れの先輩・相澤今日子役に映画『よだかの片想い』主演の松井玲奈さん、修一が編集を担当する売れっ子コメンテーター・西川洋一役にドラマ『極道夫道』『妖怪シェアハウス』でのクセの強い芝居が印象的だった安井順平さん、修一の同僚役にNetflixオリジナルドラマ『全裸監督』での熱演が話題になった冨手麻妙さん、莉奈のバイト先で痴話喧嘩を繰り広げるカップルを『仮面ライダーエグゼイド』主演（仮面ライダーエグゼイド／宝生永夢役）『警視庁・捜査一課長season5／season6』古代学役の飯島寛騎さんとミュージカル『RENT』ミミ役の八木アリサさんが演じるなど、個性的な実力派キャスト陣が名を連ねています。現代の若者たちが抱える生きづらさ、思い通りにならない日常のもどかしさを描くストーリーは、きっと多くの人の心に刺さるはず。

THEATER GIRLは主演を務める黒羽麻璃央さんにインタビュー。後編では、共演者の印象や黒羽さん自身の“イキゴメ・エピソード”について語っていただきました。

インタビュー前編はこちら

どん底の役を演じることはあっても、僕自身は生きることを楽しんでます

――共演者についてもお話を聞かせてください。莉奈役を演じた穂志もえかさんは、見た目の印象からは想像できないくらい、すごくパワフル。それでいて繊細さも感じられるお芝居がとても印象的な女優さんですね。

演じている時の穂志さんは莉奈にしか見えなかったし、演じていない時でもどこか莉奈を感じるような空気を醸し出していて･･････。こういう言い方が正しいのか分からないけど「憑依型」の役者さんなのかなって感じましたね。

――休憩中、穂志さんとはどんなお話を？

お芝居の話は、ほとんどしなかったですね。覚えているのは「焼き肉が好き」って言ってたこと。あまりお肉とか食べそうにない、お菓子とかを食べていそうなイメージだったから「意外だな」って印象に残っています（笑）。

――ほかの共演の方々も、ひと癖も二癖もある方々が揃っていましたが、いかがでしたか？

西川役の安井順平さんは、とにかく「すごい」のひと言でした！　対峙しているだけで“圧”を感じるようなお芝居で、台本にないアドリブもポンポン飛び出してましたね。だけど物語から逸脱することなくちゃんと成立してるのが「さすがだな」と思いました。

今日子役の松井玲奈さんとは本作が二回目の共演になるんですけど、「そりゃ修一も莉奈に『会ってたのは男の先輩だ』って嘘をつくよね」って納得の、素敵な大人の女性を演じてくださいました。

修一の同僚編集者役の冨手麻妙さんは役柄同様すごくサバサバした性格の方。雰囲気が「地元の友達」みたいで、学生時代に知り合っていたら普通に友達になってたんだろうなってタイプの方でした。

僕自身は生きることを日々楽しんでいます

――話は変わりますが、黒羽さん自身の“イキゴメ・エピソード”は何かありますか？　挫折しそうになって「俺ってダメだな」ってとことん落ち込んだ経験とか。

さすがに「生きててごめんなさい」と思った瞬間はないですね。

――黒羽さん、エネルギッシュですもんね。

いやいや（苦笑）。落ち込んで今にも消えてなくなりそうな時もありますけど、周囲に助けてくれる仲間や相談にのっていただける大人の方がいるし、家族や友達の支えがあったから上手く回避してきた人生だったのかなって思います。役ではどん底のキャラクターを演じることはあっても、僕自身は生きることを日々楽しんでいますから。

――黒羽さんが今一番楽しいこと、幸せを感じることは何ですか？

「幸せだな」と感じるのは目覚ましをかけずに迎えた朝（笑）。ゆっくり寝られる時間が一番幸せです。でもダラダラ寝ているのは性に合わないので、遅くても9時くらいには起きてしまうんですけどね。前日の夜にゲームするのも楽しい時間です。今は『スプラトゥーン』にハマっています。

――最後に、映画の公開を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。

僕が演じた園田修一は、恋人とギクシャクした関係になって、仕事でも上手くいかなくて、小説家になりたいという夢も行き詰っていて、全部が上手くいかない人。夢破れて生きていくのは辛い事だし、この先の人生もいろいろな困難があるかもしれないけど、「生きてるだけで丸儲け」ってあると思うし、見終った後には「きっと大丈夫。多分。」っていう、この映画のキャッチフレーズに納得していただけるはず。どこにでもいる平凡な男女を描いたこの作品は、ヒーローも出てこないし戦ったりもしない、リアルな日常を描いているからこそ、“今”を生きてる皆さんに共感していただける作品だと思います。仕事や家事、学校の勉強など頑張っている方々の心にそっと寄り添えるような、そんな作品になったらうれしいですね。