桜井日奈子インタビュー 『138億年未満』「また岡山に対する愛が深まりそう」(前編)
2024 年 11 月 23 日(土・祝)~12 月 8 日(日)まで東京・本多劇場にて、12 月12 日(木)~16 日(月)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて、ニッポン放送開局70周年記念公演『138億年未満』が上演されます。
福原充則氏の作・演出で『東京キャラバンin岡山』(2019年)にて上演された短編作品『小渕と韮沢』は、夢と現実の間で生々しくもがきながらも前へと踏み出そうとする人々の姿を描き、観る者に強烈な印象を残しました。この作品を、若者の希望と挫折、そして“故郷”をキーワードに、長編のオリジナル青春群像劇として福原自らが書き直し、新たに誕生したのが『138億年未満』です。
今作が初の外部舞台出演にして初単独主演となる作間龍斗さんが、主人公・小渕勲を演じ、小渕の通う高校の同級生であり、校内のアイドルだった韮沢カスミを桜井日奈子さんが演じます。
その他、若林時英さん、中野周平(蛙亭)さんなど、実力のある俳優陣が集結しました。
THEATER GIRLは、桜井日奈子さんにインタビュー。前編では、本作に出演が決まったときのお気持ちや演じる役柄や主演の作間龍斗さんの印象など、たっぷりとお話をうかがいました。
作品で岡山弁を喋ることが今までになかったのでうれしい
――本作に出演が決まった時はどんなお気持ちでしたか?
私の地元の岡山が舞台で、作品で岡山弁を喋ることが今までになかったので単純にうれしかったです。演出の福原充則さんとご一緒できることも個人的にはすごく嬉しくて。福原さんは脚本家もされていて、とても経験豊富な方なのでご一緒できることでいいものが得られそうだなと。福原さんの声にしっかり応えられるように頑張りたいです。
――台本を読んでどんな印象をもたれましたか?
すごい会話劇だなって。今まで舞台でこういう会話劇に挑戦したことがなかったので、少し不安もありました。高校時代と大阪へ旅立った後とで時間軸が行ったり来たりするので、どうやって転換するのかまだ想像が追いついていないのですが、わちゃわちゃしたいなと思います。
作品的には、夢を見ていた高校生たちが、それぞれ期待していたものとは違う未来に直面して、人生に折り合いをつけていくというお話なので、青春群像劇といえど甘酸っぱい感じではなく、どちらかというと酸っぱい作品だなと。でも、観ている方に希望を感じてもらえるような作品にしたいと思っているので、楽しく酸っぱい感じにできたらと思っています。
――岡山弁での会話もたくさん出てきますが、台本の中に岡山っぽさを感じられていますか?
もう岡山っぽさ満載ですよね。 「~じゃけえ」とか、たくさん方言も出てきますし。東京にいると忘れてしまうのですが、実家に帰って母親と喋ると自然と出てくるので、今回蛙亭の中野さんも岡山の方なので、2人で喋っていたら自然と岡山弁が蘇ってくると思います。台本を読んでいても愛おしいですし、岡山弁が飛び交う現場も楽しみです。
――台本のどんな部分に面白さを感じましたか?
ものすごい会話劇なんですけど、クスっとできるポイントがいくつもあるんです。福原さんご自身は高校時代の思い出なんて遠い過去のはずなのに、「こういう会話してたな」って、すごくギャルギャルしい会話が書かれていたりするので。福原さんは脚本家と演出家両方の思考をお持ちなので、常にいろんな視点で考えていらっしゃるんだろうなと。この脚本を読んでいても伝わるので、どういった演出をされるのか本当に楽しみで仕方がないです。
ダンスシーンでもしっかりと見せていけたら
――本作では、校内のアイドル的存在の韮沢カスミ役を演じられますが、現時点でどのように役作りをしていこうと考えていらっしゃいますか?
韮沢カスミは学校のスターで、大阪で一花咲かせようと思っている高校生です。プロのダンサーを目指している役なので、ダンスシーンもあったりします。私も高2からこの仕事を始めて周りからちやほやされた時期もあったので、自分で言うのもあれですが、高3の頃は確かにそんな時期があったなと思い当たる節があって。そんな自分の経験も思い出して演じられたらなと。ダンスは習っていた訳ではないですが、しっかりと見せていけたらと思います。
――本作で主人公・小渕勲を演じる作間龍斗さんの印象はいかがでしょうか。
作間さんは年下ですが、早くから仕事をされていることもあってとても達観されている印象です。話していて、年齢を偽っているのではと思うくらい落ち着いているので。雰囲気も優しいのでコミュニケーションもしっかり取っていけそうだなと感じています。
小渕も映画という自分の好きなものがはっきりしていて、それを貫き通して上京するので。2人とも高校時代の夢見ている時間がキラキラすればするほど物語は渋くなっていくと思うので、2人でそのキラキラを見せられたらと思っています。
――先ほどご自身の高校時代とも重なる部分があると仰っていましたが、デビュー前に夢を描いていた当時の桜井さんご自身と、今回の役柄で重なる部分はありますか?
私は、キャビンアテンダントやアナウンサーなど、華やかな仕事になんとなく憧れを持ってはいたのですが、それがはっきり芸能界というわけではなかったんです。
ラッキーなことに岡山でやっていたコンテストで賞をもらえたことがきっかけで、高校2年生から事務所に所属させていただいて。そこから何年か経てこの世界でしっかりやっていきたいと決意が固まったので、韮沢のように初めから自分のやりたいことが決まっていて、脇目も振らずそこに向かうという感じではなかったんです。
――韮沢カスミのように、デビュー後に芸能のお仕事の現実を知って大変だと感じたことやお仕事への決意を固めるきっかけになったことはありますか?
初めの頃は、この世界でやっていく決意が固まらないまま、舞台から俳優のお仕事を始めさせていただいて、その後ドラマなどにも出演させていただきました。ただ、この世界って仕事をして俳優と名乗ってしまえば、例えば学校に通うなどのプロセスを踏まなくても肩書を持ててしまうと思うんです。生半可な気持ちで俳優になってしまったので、周りから期待される自分とそうではない自分のすり合わせに時間がかかってしまったんだと思います。
最初の頃は「望んでこの世界にいるわけじゃないのに」と、甘えている自分もいて。それで事務所からお説教されたときは「もうやめたい」と、母親に泣いて電話したときもありました。今考えるとすごく甘かったなと思います。
決意が固まったのは、デビュー当時からずっとついてくださっていたマネージャーさんが事務所を辞めたときですね。5、6年やってくださっていて、ものすごい愛情で育ててくださったマネージャーさんで。今思えば、本当に恵まれたことだったと感じています。それだけ愛情を持って育ててくれた方なので、今の活動も絶対に見てくれていると思うし、感謝の気持ちを活動を通して伝えていきたいと思っています。
取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:野村雄治
ヘアメイク=Hitomi(Chrysanthemum)
スタイリング=阿井真理
トップス ¥110000(税込)
ボトムス ¥99000(税込)
SHIROMA 080-3901-9195
公演概要
ニッポン放送開局70周年記念公演『138億年未満』
作・演出: 福原充則
出演:
作間龍斗 桜井日奈子 若林時英 中野周平(蛙亭)
倉沢杏菜 菊池銀河 井上向日葵 相原未来 永島敬三 山口航太
【東京公演】
2024年11月23日(土・祝)~12月8日(日)
本多劇場
【大阪公演】
2024年12月12日(木)~16日(月)
サンケイホールブリーゼ
公式サイト: https://event.1242.com/events/lt138by/
公式X(旧Twitter) :@lt138by
製作 ニッポン放送 プラグマックス&エンタテインメント ノックス