笹本玲奈インタビュー ブロードウェイミュージカル『メリリー・ウィー・ロール・アロング』 「舞台に立つ原動力は“新しい自分を見つけられる期待感”」
――演出を手掛けるのは、大女優兼演出家のマリア・フリードマンさんです。演出を受けるにあたり楽しみにしていることはありますか?
たくさんありますね。それこそ彼女は女優でもあるので、ちょっとした表現の仕方や技と言いますか、そういう基本的なことも、改めて教えてもらいたいなと思います。このメアリーという役をやられていて、しかもソンドハイムと一緒にこの作品を創っている方なので、作品に対しての思い入れや、お客様に提示したい方向性が、きっと彼女の中で決まっていると思うんです。その世界観がどういうものなのか、言葉の壁を越えていろいろと知れたらいいなと思っています。
――先ほども、共演が楽しみとお話しされていましたが、改めてフランク役の平方元基さん、チャーリー役のウエンツ瑛士さんの印象をうかがえますでしょうか。
平方さんは、グランドミュージカルで拝見することが多いのですが、スタイルも良いですし、華やかなコスチュームがすごく似合う方だなと。空間を埋め尽くすようなお芝居をされる印象があります。ウエンツさんは、TVでしか拝見したことがないのですが、子役のときからミュージカルをやられていて、ミュージカルのために留学もされていましたし、彼から得られるものがたくさんあるのではと、とてもワクワクしています。
舞台と映像作品で一番違うのは「声のボリューム」
――笹本さんは、テレビドラマなど映像作品にも多数出演されていますが、舞台と映像作品とでは、演じる上で切り替えていることなどはありますか?
基本的なことですが、声のボリュームはだいぶ違いますね。日常的に話すトーンは、映像でとても求められることなのですが、同じトーンで舞台に立ってしまうと全く聞こえないので。舞台では、マイクを付けていても、劇場の一番後ろの席の方にまで届くような発声をしないといけないので、そこが一番違う部分だと思います。
それから、今まで私がやってきたミュージカルは、ドレスを着たりするような、コスチューム・プレイのものがとても多いんです。特に、ミュージカルでは日本人の役が少なかったりもしますし。先日までやっていたミュージカル『マリー・アントワネット』は、ヨーロッパの人ですし。ミュージカル『レ・ミゼラブル』もフランス人で、『ミス・サイゴン』だとベトナム人で。日本人ではない役を演じることの方が本当に多くて、表現の仕方も日本人と西洋の方だと全く違うんですよね。
また、ミュージカル『マリー・アントワネット』の場合は、ある程度、形式美と言いますか、こうしなきゃいけないというものがあって。普段の会話にしても、ドレスを着ていると同じトーンで話すことが許されなかったりするので、そことの違いはありますね。
――ちなみに、重厚な雰囲気のドレスを着ていると、声が出しづらいこともあるのでしょうか?
歌うので、なるべく締め付けないように工夫はしています。ただ、人によって歌うときに使う部分が違うので、採寸のときに「私はここが広がるので、締め付けないでほしい」と、かなり細かく修正してもらっていますね。