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大和田美帆インタビュー『日本一 わきまえない女優 「スマコ」 ~それでも彼女は舞台に立つ~』「これをやってのけた時に「大きな転機でした」と言えるぐらいのプロジェクトになる」

INTERVIEW

――須磨子は実在の人物ですが、実在している人物と架空の人物を演じるのは、大和田さんにとってはどちらが難しいですか?

架空の人物と、実在の人物っていうことにはそんなに差は無くて、実在の人がいる場合は、「頑張ってやらせていただきます」という相手がいるだけで、あんまり差は感じないですね。だから、新しい松井須磨子をつくってもいいなと思っていて。例えば、三谷幸喜さんとかが上手だなって思うんですけど、「この人は〇〇だったかも」って可能性があるのは、面白いですよね。例えば、私もいつか誰かに演じられるとしたら、「ここは悲しかったんだよ」って演出家が言ったとしても、本当は全然悲しくなかったかもしれないじゃないですか (笑)。 そう言った意味でも、実在の人物と架空の人物とを演じる差はあまりないです。

もちろん、実際に資料が多いという意味では助かりますけど。架空の人物の場合は、本当に0から想像しなくてはいけないので、脚本の方とよく話しをしたりするんですけど。今回のような実在の場合でも、本当の松井須磨子という人については、今は誰も知らないですし、もう「やっちゃえ」って感じです(笑)。もちろん彼女の喋り方や性格はあるけど、自由にやりたいなって。

――冒頭で、「私以外誰が演じるんだ」とおっしゃっていましたが、今の自分だからこその自信なのか、それともこの役をやりたいという想いのどちらだったのでしょうか?

昨年は、今の私に出来る事って何だろうと思って、一年間ずっと自分にしか出来ない事を探していたんです。小児ガンで入院している子供たちに、父と一緒にオンラインコンサートを届けたり。私が経験したことで出来ることがある中で、役者としては何ができるだろうと模索していたときにいただいたお話で。女優であるということや松井須磨子という人の強さには及ばないですけど。愛する人を亡くしたっていう事も含めて同じ境遇だったので。

ただ、役者って経験しないと演じられないのかと言われたら、正直そこは越えなくてはいけないところではありますよね。亞門さんがドイツにドキュメンタリー演劇っていうのがあるとおっしゃっていて。ただ自分の人生をパフォーマンスするっていう演劇らしいんです。最初は、私にそれはどうかと思ったらしいんですけど。

ただ今回は、松井須磨子さんをお借りして、私の人生を少し重ねて表現することにはなると思います。しょうがないんですけど、皆さんが、私と松井須磨子を重ねて見るのではと思いますし。別人物ですけど、どこか自分でも重ねていくところもあると思います。もちろん、他のいろんな女優さんにも出来る役ではあるんですけど、私だからこそ出来る松井須磨子があるのではと思うので、「私だったらこういう感じでやります」というのを表現したいと思っています。

――他の役でも共感する役などもあったかと思いますが、普段、役にのめり込んだりすることはありますか?

面白いことに共感出来ない役の方がのめり込んじゃったりするんですよね。

――そうなんですね。役自身を、もっと知りたいということでしょうか?

そう、「あなたの事をもっと知りたい!」っていう感じで。恋愛と一緒ですよね、ミステリアスな男性とか、「わからない」って人の方が、毎日考えちゃうみたいな(笑)。でも、ヒントというか、逆に松井須磨子から学ぶ事もあるし、共通点はもちろんあります。憧れとか、こうなりたいなという感じはありますね。

「すごく信頼してやらせてもらっている」宮本亞門さんの演出

――冒頭にも、宮本亞門さんについてのお話がありましたが、改めて、宮本亞門さんの演出の印象をうかがえますでしょうか。

なんていうんでしょう。否定しないですし、柔らかく演出してくださっている感じがありますね。2005年の時は、すごく厳しかった印象があるから(笑)。時を経て今回は特に、「皆で楽しんで創っていこう」と一番におっしゃってくださっていて。わからない事があれば何でもすぐに聞きますし、すごく信頼してやらせてもらっています。

――「皆で創り上げて行こう」といった、一体感のある雰囲気なんですね。

亞門さん自身が、先にみんなに心を開いてくださっている印象なので。大抵、稽古の初日って緊張するんですけど、今回は緊張よりも楽しみやワクワク感の方が強いのは、亞門さんがつくってくださっている空気感かもしれませんね。

――以前は、厳しく指導されていた時期もあったんですね。

でも、厳しくしていただいたお陰で、また再会出来たっていうのは、嬉しいことですね。やっぱり役者冥利に尽きるというか、以前ご一緒した方から声を掛けていただけるのは凄く嬉しいので、期待に応えたいなと思います。

――宮本亞門さんから大和田さんへの信頼が感じられますね。

その信頼に押しつぶされない様に気をつけないと。私も、同じ位の大きさの信頼度で返さないといけないなと思います。

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THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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