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大和田美帆インタビュー『日本一 わきまえない女優 「スマコ」 ~それでも彼女は舞台に立つ~』「これをやってのけた時に「大きな転機でした」と言えるぐらいのプロジェクトになる」

INTERVIEW

――最初、このプロジェクトをやっていくにあたり、行動に移していかないといけないとお話しされていましたが、須磨子を演じて、自分自身が強くなっていると感じる部分はありますか?

ありますね。私を強くさせるためにこのプロジェクトをやってくださっているのかなって思うくらい。違うとは思うんですけど(笑)。でも、そう思ってしまうくらい、脚本の中にあるセリフが、私を新しく作ってくれているような感覚があって。私は弱いから、やっぱり揺らいじゃうんですよね。批判も怖いし、また、そういう事で注目されて、何か言ったら批判されるんじゃないかとか。揺らいでばっかりの一年だったんです。

そんな中でも、もっとちゃんと強くなって意見が言えるような人になりたいなって憧れがずっとあって。松井須磨子は、まさにそれをやってきた人だから、そこに憧れています。亡くなっているから実際には居ないんですけど、須磨子を近くに感じて、背中を支えてくれている様な感覚はありますね。

――先ほど、この舞台が転機になるかもしれないというお話がありましたが、今見えている景色はどんな景色でしょうか?

う~ん、無限ですかね(笑)。まだ何が起こるかわからないんですけど、独立したっていうのも含めて、松井須磨子と一緒かなと。彼女と一緒で、自分の足で歩いて行きたいっていう意味でも。一人になったからこそ無限で、それこそ失敗を恐れずに行きたいなって。今は、失敗してなんぼだなと思えているので無限だと思います。

――色で例えるとしたら、何色でしょうか?

もう、カラフル! 感情としても、すごくカラフルで。やっぱり、どこか自分を鼓舞しながらやってるところもあるし。簡単に崩れてしまいそうな、脆い部分を持っている中で、「いやいや違うよ」って。「外に出る時はしっかりして」って。それは、松井須磨子もそうだったんじゃなかったのかなって思うんです。

松井須磨子が、抱月にスペイン風邪をうつしたことで非難されるかもしれない中で、それでも、「舞台をやります」と言った彼女の強さの裏に、どれだけのものがあったのか。そういう所も脚本ではちゃんと描かれているので、どれだけ彼女が実は揺らいでいたか。強い女性ほど、揺らぎがあったのではないかという部分も、きちんと表現したいと思います。

――大和田さん自身の、女優人生の目指すところについてもお聞きしたいのですが、大和田さんとしては今後、女優としてはどんな姿を見せて行きたいと思っていらっしゃいますか?

役者って、結局与えてもらうというか。出会った役によってその人の人生が影響されるし、私は特に影響されるんですけど。人生が変わっていくっていう意味では、役を選ぶってことはこれまでもしてこなかったように、これからもしないと思うし。出会った役というのは、人に出会うのと同じ感覚だと思うんです。

なので、これからも出会うのが楽しみでしかないですね。それによってどんどん変わって行って、5年前に想像していた自分とは今全く違う自分がいるので。そういった意味で、10年後20年後にどうなりたいかと聞かれたとしても、わかりませんとしか言えないです。もうなるようになれって感じですね(笑)。

もともと、明日死ぬかもと思って生きているので、思いのままに生きてきて、たくさん失敗もして壁にもぶつかって。だから、なおさら今このコロナ禍を経て明日死ぬかもって思った時に、10年後のことなんて考えられないので、今は、出会ったこの須磨子に全力投球という感じですね。

楽しい人生を過ごしたいなという目標はあるし、死に方より生き方だってことに気づいたから、「あぁ、いい生き方だったな」って思いたいっていうのはありますけど。女優として、役者としてって意味では、今を全力でやってそれで繋がらなかったら仕方ないことかなと思います。

――それも人生だなと?

それは繋がりたいですよ(笑)。でも、一歩踏み出さない限り何も出来ないので。昨年、役者を辞めようって思った時期もあったんですけど、辞めないで良かったっていつか思える様に、そして須磨子を全力でやって良かったって思える様にしたいです。今この須磨子をやる意味についてはわからないですけど、5年後くらいにわかるんじゃないですかね。やりながらでは、気づけないんだなってことも最近感じています。

――自分の気持ちを理解しようとしてくれて、大和田さんに演じてもらえることを松井須磨子さんも喜んでくれているのではないでしょうか。

どうですかね。でも、ここまでリンクする人はなかなかいないと思いますね。離婚歴は、彼女の方が多いけど(笑)。でも、私も一回しているし、私にしか出来ないと信じて頑張ります。

次ページからは、本作のリハーサル稽古の様子を写真を交えてレポートする。

次のページ:稽古場レポート

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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