平間壮一インタビュー 『無伴奏ソナタ-The Musical-』「“生きてきてよかった”と思える作品」(前編)
2026年7月17日(金)より東京・サンシャイン劇場、8月8日(土)より大阪・クールジャパンパーク大阪 WWホールにて、『無伴奏ソナタ-The Musical-』が上演されます。
演劇集団キャラメルボックスの代表作として長年愛されてきた舞台『無伴奏ソナタ』。その世界観をミュージカルとして生まれ変わらせた本作は、2024年の初演で大きな反響を呼び、クライマックスでは喝采と涙に包まれる感動作として高い評価を受けました。
原作は、「エンダーのゲーム」でネビュラ賞・ヒューゴー賞をダブル受賞したアメリカの作家、オースン・スコット・カードによる短編小説。すべての人間の職業が幼児期のテストによって決定される時代を背景に、音楽の天才として見出された男、クリスチャン・ハロルドセンの壮絶な人生を描きます。
脚本・演出・作詞は、舞台版も手掛け、数々の演劇作品を生み出してきた成井 豊さん。音楽は、元ピアノロックバンドWEAVERのボーカルで、現在はソロプロジェクトONCEとして活動する杉本雄治さん。そのほか、初演に引き続き、実力派のクリエイティブスタッフが再集結します。
音楽の天才として見入だされるクリスチャンには、『RENT』、『ヴァグラント』、『テラヤマ・キャバレー』などの話題作に出演が続く平間壮一さん。そして、クリスチャンの生活を監視するウォッチャーには、舞台版『無伴奏ソナタ』でクリスチャンを演じてきた多田直人(キャラメルボックス)さんが続投。
そして、新キャストとして、真瀬はるかさん、熊谷彩春さん、長江崚行さん、西川大貴さん、大久保祥太郎さんが出演します。
THEATER GIRLは、主演の平間壮一さんにインタビュー。前編では、再演が決まった際のお気持ちや再びクリスチャンを演じる上で感じている変化、本作だからこそ描けるテーマや作品の魅力についてお聞きしました。
期待に応えなければいけないという責任も強くなった
――今回、再演が決まったときのお気持ちはいかがでしたか?
「来たか」と思いましたね。再演は毎回とてもうれしいものですが、その分重みも感じます。ただ、もう一度できる喜びと同時に、観たいと言ってくださる方が多いからこそ実現するものでもあるので、期待に応えなければいけないという責任も強くなりました。
年齢を重ねるごとに、その責任感はより大きくなっていますし、もう一度稽古できるチャンスをいただけたからこそ、さらに良いものにしなければいけないとも感じていて。その分、プレッシャーのような怖さもあります。
――初演時には、再演を期待する気持ちもあったのでしょうか?
カンパニー内やスタッフの間で評判が良いという話は耳にしていましたし、「再演できたらいいね」という声もありました。実際にまたやれることはとてもうれしかったのですが、この作品は演じる側の心がかなり削られるので。時間が空くと、再びその状態に戻ることへの怖さもありました。
間が空きすぎると戻れないのではないかという不安もありましたが、2年経って「いよいよか」という気持ちになりました。

より芝居に集中できる時間が増えるのでは
――キャラメルボックスの名作をミュージカル化するにあたり、初演時に大変だったことはありますか?
稽古の中で試行錯誤が多くありました。単純な芝居の稽古だけでなく、音楽とのバランスについて話し合う時間も多くて。例えば、芝居の流れに音楽がうまくはまらない場面について、どうするか話し合うこともありました。
――ミュージカル化にあたっての苦労も大きかったのですね。
印象的だったのは、もともとあるセリフに後から歌詞を乗せたことで、結果的に同じことをセリフと歌で二度表現してしまっていたことです。「同じことを二回言っているね」という話になり、どちらかを削るといった調整も稽古場で行いました。
今回はすでにその流れができているので、より芝居に集中できる時間が増えるのではないかと思っています。
――再演ならではの強みですね。
そうですね。ただ、今回は演出の成井さんがどのような新しいアプローチをされるのか、まだ分からない部分もあります。キャストも一部変わっていますし、初演前にはワークショップを通して役者それぞれのスタイルを見ていた印象があるので、今回も新たな変化があるかもしれません。
――新キャストによる雰囲気の変化もありそうですね。
かなり変わると思いますね。真瀬(はるか)さんとは今回が初共演になるので楽しみですし、他の新キャストの方々とはこれまでにご一緒したことがあるので、比較的やりやすさは感じています。
――真瀬さんとの関係性も重要になりそうですね。
役として一番関わりが深くなる相手でもありますし、母のようでもあり、姉のようでもある役柄なので、不思議な距離感になるのではないかと思っています。

全体的に余白が生まれているはず
――ウォッチャー役の多田直人さんは、舞台版『無伴奏ソナタ』で長年クリスチャンを演じられてきましたが、初演時に何かアドバイスなどはありましたか?
行き詰まったときに、多田さんが声をかけてくださって。「自分がやっていたときはこうだったよ」と優しく教えてくださったのを覚えています。ただ、「それに合わせる必要はないと思う」とも言ってくださって、とても心強い先輩でした。
――クリスチャン役を演じるにあたって、当時はプレッシャーも大きかったのでは?
かなりありましたね。稽古中も多田さんがじっと見ているように感じて、「これで合っているのか」と不安になることもありました。実際は目が悪かっただけらしいのですが(笑)、当時の自分には強い視線に感じてしまって。
ただ、本番後に「とても素敵だった」と言っていただけたことで救われました。今回はそういったプレッシャーにとらわれず、よりフラットな状態で臨めるのではないかと思っています。
――今回はより自由に臨めそうですね。
そうですね。前回は歌に不慣れな方も多く、カンパニー全体としてもプレッシャーが大きかったと思います。キャラメルボックスの方々にとってはふだんやらない歌唱への不安があったようですし、自分自身も作品の中で重要な役を担うことへの緊張がありました。
今回はその経験を経て、全体的に余白が生まれているはずです。変な緊張感を持たずに挑めると思うので、とても楽しみにしています。
――初演に続いてクリスチャンを演じるにあたり、再演ではどのような変化を意識されていますか?
より“人を怖がる感覚”を持ってもいいのではないかと考えています。前回は、音楽にしか興味がなく、人と関わってこなかったからこそ分からないというスタンスで演じていたので。ただ、人間は良い面も悪い面も併せ持っている存在だと思うんです。
音楽だけに向き合ってきたクリスチャンだからこそ、人の持つ負の側面もどこかで受け取る必要があるのではないかと感じて。前回の自分は、どこかで人の良い部分だけを見ようとしていた気がするので、今回は悪い部分もきちんと見つめられる人物として表現できたらと思っています。

自分の中にある“抗えないもの”の存在を教えてくれる
――改めて、本作の魅力についてはどのように感じていますか?
この作品に触れて、「人には本当に大切なものがある」ということを強く感じました。クリスチャンにとって音楽は、たとえ禁止されていてもやめられない存在です。どれほど重い罰を受けると分かっていても、なお突き動かされてしまうものがある。
それは誰にでもある感情だと思います。大切な人かもしれないし、何か別のものかもしれない。自分の中にある“抗えないもの”の存在を、この作品は教えてくれると思います。
――精神的にもかなり削られる作品とのことですが、そのような感覚は珍しいですか?
かなり特殊だと思います。やりたいのにやれないというストレスに加えて、それをしてしまうと命に関わるという設定は、とても過酷なので。これほど追い込まれる状況は、なかなかありません。
実際にこの物語の設定をピアニストの方に話したことがあるのですが、「そんな世界では生きていけない」とおっしゃっていて。その言葉を聞いて、やはりそうだよなと強く共感しました。
――ご自身にとっても、表現を奪われることはやはり大きな苦しみになりますか?
特にダンスは厳しいかもしれません。見られていなくてもいいから踊りたいと思うくらい、生活の一部になっているので。
お芝居に関しては、やっているようでいて“生きること”に近い感覚なので、「禁止される」というイメージが少し難しいです。生きてはいけないと言われるような感覚に近いのではと思うので、それも非常にキツいことだと思います。
――やはりダンスは特に欠かせない存在なのですね。
そうですね。観ることも好きなので、それすらも禁止されたらかなり辛いと思います。ただ、クリスチャンは音楽を「聴くこと」すら禁じられているので、その状況は本当に過酷ですよね。

――作品の設定について考えることも多いのでは?
再演が決まってから、ふとこの作品のことを思い出す時間が増えました。その中で、「決められたことだけをやる世界」というのは、ある意味、幸せなのではないかと感じたこともあって。
例えば、確実に進むべき道が決まっていて、無駄な努力をしなくていい環境。合格するか分からない目標に向かって努力する必要がないというのは、一見すると恵まれているようにも思えます。
――一方で、葛藤もありそうですね。
そうですね。ただ、そのような環境では人間は進化しなくなるのではないかとも思いました。できないことや悔しさに向き合うからこそ成長できる部分もあると思うので、それがなくなるとどうなるのか。
それが本当に幸せなのかということは、まだ見つけられていないのですが。幸せになるために進化している訳ではないと思うので。だけど楽しさだったり「幸せとは何か」という問いを、改めて考えさせてくれる作品だと感じています。
競争や葛藤を乗り越えた先にある達成感が幸せなのか、それとも何もない状態が幸せなのか。どちらか一方では成立しないのかもしれないなと。
美味しくないものがあるからこそ美味しいと感じるように、対比があることで成り立つ感情もあると思うので。そういった深いテーマが、この作品の魅力の一つだと感じています。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:遥南 碧
公演概要
『無伴奏ソナタ -The Musical-』
【原案】 オースン・スコット・カード 【翻訳】 金子 司
【脚本・演出・作詞】 成井 豊 【音楽】 杉本雄治
【出演】
平間壮一 多田直人(キャラメルボックス) 真瀬はるか 熊谷彩春 長江崚行 / 西川大貴 /
畑中智行(キャラメルボックス) 原田樹里(キャラメルボックス) 大久保祥太郎 西野 誠 町屋美咲
【東京公演】 2026年7月17日(金)~7月26日(日) サンシャイン劇場
【大阪公演】 2026年8月8日(土)~8月9日(日) クールジャパンパーク大阪 WW ホール
企画・製作:ナッポスユナイテッド AMUSE CREATIVE STUDIO
【公演オフィシャルサイト】https://napposunited.com/sonatathemusical2026
【公演オフィシャルX】@mubansoumusical
平間壮一さんのサイン入りチェキをプレゼント!
「THEATER GIRL(シアターガール)」公式Xアカウント、または公式Instagramアカウントをフォロー&リポストで「平間壮一さんのサイン入りチェキ」を抽選でそれぞれ1名様にプレゼント!※X、Instagram両方応募も可能です。
【応募方法】
①「THEATER GIRL(シアターガール) 」公式Xアカウント(@theatergirl_jp)をフォロー
Instagramの応募は「THEATER GIRL(シアターガール) 」公式Instagramアカウント(@theatergirl_official)をフォロー
↓
②指定ポストをリポスト(Instagramはいいね)
↓
③抽選でそれぞれ1名様に、「平間壮一さんのサイン入りチェキ」をプレゼント!!
【応募締切】
8月4日(火)応募締切
【当選発表】
厳正な抽選の上、当選者の方へのみダイレクトメッセージにてご連絡させていただきます。
