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有澤樟太郎インタビュー ミュージカル『民王』「このタイミングでミュージカルとして上演されるのは“運命的なこと”」(前編)

INTERVIEW

2026年9月6日(日) より東京・シアタークリエにて、ミュージカル『民王』が上演されます。

本作は、2010年に刊行された池井戸潤氏による長編小説。ひょんなことから内閣総理大臣と大学生の息子の心と体が突然入れ替わり巻き起こる混乱を、社会や政治への皮肉や風刺を絡めて描いたコメディ小説で、2010年に単行本、2013年に文藝春秋より文春文庫版、2019年にKADOKAWAより角川文庫版が刊行され、人気を博しました。また2015年にテレビ朝日系にて初のドラマ化がなされ、さらに2024年にはテレビドラマオリジナルストーリーとして「民王R」が放送。老若男女問わず好評を博しています。

全世代幅広く、圧倒的な支持を受ける「池井戸潤小説」が、この度はじめて舞台化。記念すべき第一作目となるこのミュージカルでは、ある日突然、現職総理大臣である父親と入れ替わってしまう大学生、武藤翔役を『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』『HERO』『キンキーブーツ』など様々な作品で主演を務める、有澤樟太郎さん、翔の父・武藤泰山役を『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『マイ・フェア・レディ』など多数の作品に出演する別所哲也さんが演じます。

さらに、豊原江理佳さん、乃木坂46の林瑠奈さん、山崎大輝さん、上川一哉さん、福田転球さん、一路真輝さん、竹中直人さんと豪華な共演者が揃いました。

豪華クリエイティブ陣も集結。脚本をてがけるのは映画『シャイロックの子供たち』で第47回日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞し、日本中に衝撃をあたえたツバキミチオさん。そして楽曲をてがけるのはピアニスト/作曲家の角野隼斗さん。世界中から注目される若き才能が池井戸潤氏からのラブコールを受け本作で初のミュージカルへの楽曲提供をします。演出は舞台『千と千尋の神隠し』で演出補・レジデントディレクター、ミュージカル『ミス・サイゴン』等で演出助手をつとめた永井誠さんがつとめます。

THEATER GIRLは、主演の有澤樟太郎さんにインタビュー。前編では、出演が決まった際の率直な思いや原作・脚本の印象、武藤翔という役の魅力、ミュージカルならではの表現への期待に加え、別所哲也さんや竹中直人さんとの共演エピソード、本作への意気込みについてお話を伺いました。

インタビュー後編はこちら

主演として声をかけていただけたことが本当にうれしかった

出演が決まったときは、「あの池井戸潤さんの作品がミュージカルになるのか!」と驚きました。もし自分が出演していなかったとしても、絶対に「出たい」と思っていたはずですし、きっとうらやましがっていただろうなと思うくらい魅力的な作品だと感じています。そんな作品に、主演として声をかけていただけたことが本当にうれしかったです。

近年、日本オリジナルのミュージカルは少しずつ増えてきていますが、海外作品も素敵なものがどんどん上演されている中で、日本から発信していこうという流れも強くなっていると感じます。この『民王』はまさにその象徴的な作品になるのではないかなと思います。ミュージカルという形で、さまざまな可能性を秘めている点にも大きな魅力を感じていますし、今からとても楽しみです。

最初はまた“ダメ男役”なのかと思っていた

今回演じる翔という役について、正直に言うと、最初はまた“ダメ男役”なのかと思っていました(笑)。これまでにも『キンキーブーツ』や『HERO』 など、どこか抜けていたり周りに助けられたりするキャラクターを演じる機会が多かったので、今回もそういった役柄かと想像していたんです。

ただ、出演が決まって原作を読み進めるうちに、とても魅力的で奥深い人物だと感じました。自分にとっても大きな挑戦になると感じています。物語の中では父親の泰山との入れ替わりなどもあり、さまざまな側面が描かれますが、翔は大人が言えないことをまっすぐに口にしてしまう存在です。その言葉には真実味があり、人間力が試される役だと感じています。

そういった役に自分を選んでいただけたこと、さらに「この役が合う」と言っていただけたことが、とても光栄です。

共感できるところは多いですね。翔は「こういう人間でありたい」と思わせてくれる人物だと思いますし、自分自身も状況によっては思い切って発言してしまうことがあるので、少し近い部分があるのかもしれません。

たとえば、あえてとぼけたフリをして質問してみたりするなど、自分なりのやり方で本音を引き出そうとしたり。ただ、翔の場合はそうした“フリ”ではなく、本当にまっすぐに言葉を発する人物なんです。

物語全体を通して見ても翔の言葉は強く心に残るものが多いので、それだけ印象的で、存在感のある役だと思っています。

作品自体にも強く引き込まれた

先ほどのお話とも重なりますが、最初は“ドラ息子”という印象だった翔は、読み進めてみるととても魅力的なキャラクターでした。作品自体にも強く引き込まれましたし、演じさせていただけることが改めて光栄だと思いました。

ミュージカルとして表現するにあたって、“政治コメディ”というジャンルでもあるので、まずはエンターテインメントとしてしっかり楽しんでいただけるものにしたいという思いがあります。その一方で、原作が持っている言葉の強さや、胸に刺さるメッセージ性は大切にしたいです。

翔が発する真実味のある言葉は、読者として強く心に残りましたし、そういった部分を、観に来てくださるお客様にもきちんと届けたいと考えています。楽しいだけで終わるのではなく、何かひとつでも持ち帰っていただける作品にしたい、という思いがあります。

僕自身、ありたがいことに今までシアタークリエでの公演に出演させていただくことが多く、劇場に向かう際に霞が関や国会議事堂の前を通ることもよくありますが、そういった場所の近くでこの作品を上演するというのも、何か意味があるように感じています。もしかすると、政治というテーマに対して身構えてしまう方がいらっしゃるかもしれません。

ただ、本作はあくまでコメディですし、物語の軸は親子の関係性にあるので、多くの方に共感していただける作品になるはずです。決して難しい話ではないので、原作やドラマをご覧になったことがある方は特に、安心して楽しんでいただけるのではないかと思います。

原作とドラマも拝見しましたが、設定がそれぞれ少し異なっているんです。ドラマでの翔は女子力が高い人物として描かれていましたが、原作ではどちらかというとチャラチャラとした軽いノリの大学生で、親の七光りを嫌っているような人物として描かれています。

今回のミュージカルでは、その“今どきの大学生らしい翔”がベースになるのではと感じています。また、原作を踏まえつつも、舞台用に一から構築すると伺っているので、単に原作の良い部分を抜き出したというよりも、現代に合わせて再構築された、舞台として成立するオリジナリティを持った作品になるのではないかと思っています。

具体的には、翔が大学の同級生である南真衣ちゃんに好意を寄せているという要素が、今回の舞台ではより強く描かれるようです。キャラクターの感情や関係性が、舞台で表現されることを前提に脚色されているように感じています。

音楽があることで、政治家側と国民側、それぞれの本音や内面をしっかり表現できるのがミュージカルの強みだと思います。特に『民王』という題材においては、建前上は言いづらいことや、普段は表に出せない感情を歌に乗せて届けられるのが大きいのかなと。

政治家は本来言えない本音を、そして国民は日々の鬱憤や不満といった感情を、歌として表現できる。それがとても作品に合っていると感じました。最初はどのようにミュージカル化されるのだろうと思ったのですが、今は「なぜこれまでミュージカルになっていなかったのだろう」と思うくらい、相性の良さを感じています。

また、ミュージカルならではの構成として、「ここで一幕が終わるのか!」というような意外性もあるので、原作を知っている方にとっても、展開の違いや見せ方の違いがサプライズになると思っています。

また親子役で共演できることがとてもうれしい

以前、ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』でご一緒していて、共演するのは今回が二度目になります。今回また親子役で共演できることがとてもうれしいです。

改めてお話しして感じたのは、本当にオープンマインドな方だということです。人を受け入れる姿勢が自然で、「どうぞ入ってきてください」という空気を持っていらっしゃる、素敵な方なんです。前回は初対面でしたが、今回はさらに一歩踏み込んで関係性を築きながら、良い作品を作っていきたいと思います。

ある意味、同じ役を二人で作る感覚に近いのかなと考えています。この作品は二人で一つの人物像を作り上げていく側面が強いので、関係性の構築がとても重要になると思います。

自分なりに内閣総理大臣・武藤泰山という役を作ることはもちろんですが、別所さんが作る泰山像も理解して取り入れなければいけません。そのためには、別所さんの癖や特徴も含めてしっかり観察する必要があると感じています。

別所さんは多方面で活躍されていて、さまざまな側面を持っていらっしゃいます。「ハムの人」としての顔、朝に声を聞かせてくださるラジオ番組、さらにはバラエティで見せる親しみやすい一面など……。そういった多面的な要素を役に落とし込めたら面白いのではと思っています。その個性をしっかり吸収しながら、自分の役作りにも生かしていきたいです。

竹中さんが参加してくださると聞いた時は、本当にうれしかったです。それだけでもう「勝ちでしょ」と感じたくらい。楽しくなることはまず間違いないと思っています。

竹中さんは、誰も想像できないようなパフォーマンスをされる方なので、すごく刺激をいただけると思いますし、映像作品で池井戸さんの作品にもたくさん出演されているので、そういう意味でもとても頼もしい存在です。やっぱり、竹中さんの魅力の一つである「自由なところ」は、「次は何が起こるんだろう」というワクワク感があります。その分、共演させていただくときは少し怖さもありますが(笑)、僕は大好きです。

竹中さんが「樟太郎と一緒にやりたい」と言ってくださったこともうれしかったですし、こんなに年の離れた僕のことを「マブダチ」と呼んでくださるんです。『のだめ』の時も、袖で「これからも友達でいような」と言ってくださって。それ以来、プライベートでも一緒にご飯に行かせていただいたりもしていますし、今回また共演できることが、本当に楽しみです。

今回はまたワケが違います(笑)。別の取材で、別所さんと池井戸さんと3人で鼎談させていただいたのですが、これまで同世代の方と一緒に取材を受ける機会は多かったものの、別所さんと池井戸さんと並ぶというのがとても新鮮でした。

しかも今回は、個性的な方がたくさんいらっしゃるので、「どうなるんだろう」という気持ちもあります。最初は、少し別所さんにお任せしてしまう部分もあるかもしれません。本当に心強い存在なので頼りにしています。

過去の自分と入れ替わるとしたら……!?

高校生です。人生で一番楽しかった時期なので、もう一度戻りたいです。友達とただダラダラ過ごしているだけで楽しかったんですよね。

この前、実家に帰った時にボウリング場の前を通ったのですが、友達とボウリングをするのが本当に好きで。友達と回転寿司に行ったりするのも大好きでしたね。

今は思い切りはしゃぐことも少なくなったし、そういう感動もなかなかなく、高校生の頃はちゃんとはしゃげていたので、実家に帰りながら「楽しかったな」と思い出していました。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:加古伸弥
ヘアメイク:窪田健吾(aiutare)
スタイリスト:山田安莉沙

インタビュー後編はこちら

公演概要

ミュージカル『民王』

出演:
武藤 翔 有澤樟太郎 
武藤泰山 別所哲也
村野エリカ 豊原江理佳
南 真衣 林瑠奈(乃木坂46)
貝原茂平 山崎大輝
新田 理 上川一哉
蔵本 志郎 福田転球
武藤綾 一路真輝
城山和彦 竹中直人
ほか

原作: 池井戸潤「民王」(文春文庫/角川文庫)
脚本: ツバキミチオ
音楽: 角野隼斗
演出: 永井誠
主催: 東宝/テレビ朝日
製作: 東宝

スケジュール:
2026年9月6日(日)~10月6日(火)  東京・シアタークリエ
2026年10月11日(日)~13日(火)   大阪・梅田芸術劇場 シアタードラマシティ
2026年10月17日(土)~19日(月)   福岡・博多座

公式ホームページ:http://tohostage.com/tamiou/

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