柿澤勇人インタビュー『ジーザス・クライスト=スーパースター in コンサート』「思い入れのある作品で、もう一度初心にかえりたい」(前編)
INTERVIEW
――今もお話にあったように、今回の公演ではミュージカルをコンサート形式で上演することとなりますが、それゆえの楽しさや難しさはありますか?
まだまだ僕も全然分かっていない状態ではあるんですけど。難しいのはやっぱり、その……例えば、恋人が死んでしまった後に歌う曲、それもすごい名曲があったとして。本来であれば、一幕から始まって、二幕の最後のほうにその曲があったりするから感動するわけなんですよね。役者陣も、オーケストラがいる舞台ならオケさんたちも、そういう(物語の流れを辿った)旅があるから、必然的にその曲になるし、そういう気持ちになる。
でも、コンサートになると、それをいきなり歌うわけですから。入り込みすぎちゃっても、それはそれでちがうような感じもするし、僕もどこまでやっていいのか分からないんです。衣裳もスーツだったりしますし。
――あぁ……何となく分かります。
そこが難しいところだなと、これまでも思っていたし、今も思ってはいるんですけど。でも、観てくださるお客様も、その作品やその曲を知った上で足を運んでくれる方がほとんどだと思うので、いろいろ想像したり、思い出してもらったりしながら楽しんでもらうこともできるなと思って。
だから今は、曲に入り込むうんぬんというよりは、自分がその曲の音楽を楽しむという姿勢で臨めばいいんじゃないかと思えるようになってきました。そうなったら、気持ちはすごくラクになりましたね。お客さんがノってくれたり、感動してくれていたりしている時は、すごくありがたいなぁと思いながらやっています。