柿澤勇人インタビュー『ジーザス・クライスト=スーパースター in コンサート』「思い入れのある作品で、もう一度初心にかえりたい」(前編)
――では作品自体についても伺わせてください。柿澤さんは今作の魅力はどんなところにあると思われますか?
まず絶対的に(アンドリュー・)ロイド=ウェバーの楽曲のよさがあると思います。ロイド=ウェバーは『オペラ座の怪人』や『キャッツ』『エビータ』『スクール・オブ・ロック』などみなさんご存知のミュージカルを手掛けていますけど、どの曲も、登場人物の心にリンクしていながら、なおかつキャッチーで心に残る。それが『ジーザス……』の一番の魅力だと思います。
――作品名を耳にしただけで、あの有名なフレーズが思い浮かびますよね。
ただ誰もができるっていうわけではなくて、本当にその曲を伝えられる技術と心を持った役者じゃないとできないっていう難しさもあるんですけど。でもそれができたのなら、とんでもないエネルギーを持った作品になるというのが、今作のすごいところだと思います。
楽曲に取り組んで感じる“楽器”のちがい
――ロイド=ウェバー作品では『サンセット大通り』にも参加されていますが、彼の楽曲を歌うにあたっての難しさはどんなところにあるのでしょうか?
男性の曲に関しては、まずはキーがめちゃくちゃ高いです。昨年中止になってしまった『スクール・オブ・ロック』は稽古もできなかったんですが、動画をひとつずつ撮るという企画があって。普通にハイC(ツェー)とか出てくるんですよ。ハイCって男性にとってはかなりキツい音域なんですけど、向こうの人たちは平気で歌うんですよね。あまりに軽々歌うので、もう少し低いのかなって感じたんですけど、楽譜を見たらハイCとかそれ以上で。(海外の役者は)それを平気で歌えちゃう技術と楽器(=身体)が備わっているのですが、僕にとってはとても難しいです。
――やはり生まれ持った体格などが、歌唱面にも大きく影響するんですね。
そうですね。ただ、歌えるようになると、自然と役の気持ちに寄り添って歌えるような曲が多いんです。観客として観た時にも一度聴けば分かったり、劇場を出る頃には口ずさめたりすることは、ミュージカルにおいてかなり大事なことなんじゃないかと思っていて。僕が知る限り、ロイド=ウェバー作品にはどれにも必ずそういう曲があるので、ものすごいことなんだろうなと思いながら、いつも曲を聴いています。