成河インタビュー 舞台『検察側の証人』 「自分が陪審員として座らされてしまっている、そんな作品になる」
INTERVIEW
――今回、成河さんは検察官のマイアーズ役を演じられますが、ご自身に似ているなと感じる部分はありますか?
う~ん、まぁ僕は理屈っぽいんでね(笑)。もともと理屈っぽいし、割と理屈っぽい仲間たちと付き合って演劇を作って来たんで。また、そういうロジックな世界がすごく好きだったりもするんですよ。マイアーズに似てるかどうかはわからないですけど、扱う言葉としてはそんなに遠くないなぁという印象はありますね。
――物語の中盤まで、いわばヒール役を担うのがマイアーズです。ただ、形勢が変わっていく展開を考えると、表立った二面性のないマイアーズのほうに人間味があるとさえ感じます。こうした役どころでは、どんなことを意識しながらキャラクターを作り上げていくのでしょうか?
面白い質問ですね。最初に気を付けるべき点は、ヒール役をやろうとしないってことじゃないでしょうか。全員に言えることですけど、彼は彼の理にかなったことをしていますから。物語の構造上、ヒールのように見えるってことはあるんでしょうけど、そこにこだわらずに「何が彼の理なのか」みたいな論理性っていうものをブレずに作っていければ、勝手に戯曲がそうなっていく。ヒールにもなっていくし、形勢が変わっていくようにも見えていくんです。
やっぱり演じ手側が気を付けなきゃいけないのは、「ヒールっぽく見えるようにしよう」とか「大どんでん返しっぽくやろう」っていうふうにしないことだと思います。それぞれの役柄を誠実に生きることで、戯曲が勝手にそこへと連れてってくれる。小川絵梨子さんも、そのへんについては厳しいですね(笑)。