相葉裕樹×夢咲ねねインタビュー ミュージカル『Ordinary Days』「普遍的に描かれる何気ない日常に共感してもらえたら」（後編）
2023年2月8日（木）よりオフ・ブロードウェイ ミュージカル『Ordinary Days』の幕が開き、東京・俳優座劇場とCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演されます。
今作は2009年にオフ・ブロードウェイで上演され話題を呼んだソングスルーミュージカルで、日本本格上演は今回が初。新進気鋭のクリエイター、アダム・グウォンが作詞・作曲を手掛けた爽快で誠実な楽曲群が、誰もが経験したことのあるような人を想い合う温かさや、うまくいかず葛藤することもある日々を繊細に描き出し、心に寄り添った作品となっています。
主演・ジェイソン役を務めるのは、ミュージカル『レ・ミゼラブル』アンジョルラス役のほか、昨今ミュージカルでも頭角を現す相葉裕樹さん。ヒロイン・クレア役には、元宝塚トップ娘役でミュージカル『東京ラブストーリー』ほか数々のミュージカル作品に出演する夢咲ねねさんが抜擢されました。
また、作品を彩るもう一組のカップルはWキャストの配役となっており、デイブ役を演じるのは、ディズニー長編アニメーション映画『ミラベルと魔法だらけの家』のヒロイン・ミラベルの日本版声優を演じた斎藤瑠希さんと、女性アイドルグループ「東京パフォーマンスドール」の元メンバーでミュージカル『いつか〜one fine day』などミュージカル出演が続く浜崎香帆さん。ウォーレン役を男女7人組ダンス＆ボーカルグループ「GENIC」の小池竜暉さんと、パフォーマンスユニット「円神」の中本大賀さんが今回ミュージカル初挑戦で演じます。
THEATER GIRLは、ジェイソンとクレアのカップルを演じる、相葉裕樹さんと夢咲ねねさんにインタビュー。後編では、カンパニーの空気感や、おふたりが体験した“巡り合わせ“のエピソードについて、たっぷり語っていただきました。
ミュージカル初挑戦のWウォーレンは「フレッシュと言う感じはそこまでしないです（笑）」
――今回、カンパニーの6人のみなさんのうち、ウォーレン役をWキャストで演じる小池竜暉さんと中本大賀さんがミュージカル初挑戦だったりと、フレッシュな空気感なのではと思ったりしたのですが、そのあたりはいかがでしょう？
夢咲：ふふふ。
相葉：いや、フレッシュ？ うーん、フレッシュだとは思いますけど……どうだろうな（笑）。なんかこう（小池さんも中本さんも）初ミュージカルっていう感じはあんまりしないんですよね。やっぱりこれまでに（それぞれの所属グループで）歌やダンスをやってきている方たちなので、多分歌は得意ジャンルなんだろうなと感じますし。でもたしかに……どうなんだろう。本人たちがどう思っているのか分からないですけど、あんまり緊張しているような感じは……。
夢咲：（ないない、と首を横に振りながら笑っている）
相葉：うん、すごくフレッシュという感じは、そこまでしないですね（笑）。どちらかと言うと、わりと落ち着いてやっている感じです。
――みなさん、比較的リラックスされている感じなのでしょうか（笑）。演出の田中さんの雰囲気も相まって。
相葉：そうですね。だから、今後もっともっと自由になっていくのかもしれないですけど。（小池さん、中本さんとは）昨日初めていっしょにやって、「これから」って。僕自身も含め、一曲一曲について深めていくことで、これからさらに作品の濃度が高まっていくんだろうなと思います。
ふたり共通の運命的な選択「行くか行かないか迷ったら、行ったほうがいい」
――では、物語にちなんだお話もお聞きしたいのですが。作中では、ジェイソンとクレア、デイブとウォーレンの2組の人生が交錯することで、人生の流れが変わっていく様が描かれていきます。これまでにおふたりが体験された「巡り合わせってすごいな」と感じたできごとについて伺いたいのですが、いかがでしょう？
相葉： 夢咲さん、いかがでしょうか？（笑）
夢咲：えー！ 巡り合わせって「運命だった」みたいな？（笑）以前も話したことがあるんですけど。私、宝塚（歌劇団）に入って2年目の時に当時所属していた組で『エリザベート』という大きな作品を上演することになって。その新人公演で1日だけ、本役さんからいろいろと教えていただきながら、エリザベートをやったんです。その話をいただいた時に、やるからには本場の『エリザベート』を観たいと思って、ウィーンまで観に行ったんですよ。
相葉：へぇ！
夢咲：その時に劇団の人から「同時に違う劇場で『ロミオとジュリエット』もやってるから、そっちも観ない？ チケットとりますよ」って言われて。正直なところ、『ロミオとジュリエット』ってちょっとクラシカルなイメージだったんです（笑）。ドイツ語も分からないしで、あまり気は進まなかったんですが「でもまぁ一応、念のため」と、お願いしてチケットを取ってもらって。現地に着いた日に『エリザベート』を観て、次の日に『ロミオとジュリエット』、その翌日にまた『エリザベート』を観て帰る予定だったんです。
相葉：うんうん。
夢咲：それで『ロミオとジュリエット』を観に行ってみたら、もう冒頭でガツンとやられちゃって！ しかも、ロミオ役の人がめちゃくちゃ格好良かったんです！
――あら！
夢咲：もう私、ロミオに恋してしまって、熱出しちゃったんですよ！（笑）
――（一同爆笑）。
夢咲：もう（上演の）休憩中もロミオのことしか考えられないし、でも体調は悪くて立ち上がれないし。本当は出待ちもしたかったんですけど、それどころじゃないくらい体調が悪かったので、とりあえず客席を練り歩いていた売り子さんからCDだけ購入して。「これで毎日ロミオの声が聴ける……！」（CDを握りしめ掲げるポーズ）って帰国したわけなんです。そこから、何かあるたびに「『ロミオとジュリエット』、絶対面白いから上演してほしい。それに出演したい！」って、いろいろなところでずっと夢として語っていたら。その何年か後に「日本での初めての公演を星組で上演します、ジュリエットはあなたにやってもらいます」って言われたんです！
相葉：おお！
夢咲：その時には私、もうドイツ語の歌詞をコンプリートしていて。「Aimer」っていう有名な劇中曲があるんですけど、ドイツ語でのタイトルは「Liebe」なんです。だから「なんで『Aimer』なの？『Liebe』でインプットされてるから違和感がある！」みたいに、オタク心に火が点いたりしてました。
――あはは！ そのこだわり方はたしかにオタクですね（笑）。
夢咲：さらに何年か後には、ロミオ役の方にもお会いできたんですよ！ すごくない！？
相葉：すごいすごい！
夢咲：私の運、そこで使い果たしたんだと思ってます（笑）。
――インパクトのあるエピソードをありがとうございます（笑）。相葉さんはいかがでしょう？
相葉：巡り合わせはいろいろなタイミングで感じてまして。僕、芸能界に入る前にストリートライブをやってたんです。
夢咲：え、そうだったんだ！
相葉：芸能界に入りたくて、15歳の時から養成所に通っていて。3人組でダンスのストリートライブをやったりしながら、デビューを目指していたんです。高校一年生の時の夏休みに、あるメンバーが「明日、ちょっと名古屋に行かないか」って言い出して。「なにそれ？」って聞いたら、名古屋はストリートライブが盛んだからそのイベントを見に行って、そこでチラシを配ってライブをしよう、と。「何だかよく分かんないけど、とりあえず行くか」という流れになり、夜行バスにのって名古屋へ行って、そこで「ストリートライブやります」ってチラシを配ってたんです。
――行動力が素晴らしいですね。
相葉：その時に出会ったのが、ストリートライブやそのパフォーマーを応援するようなサイトを運営している方で。その人が僕らのことをサイトに載せたいと言ってくれたんです。それまではお客さんが本当に0人だったのが、そこに掲載されてから東京でやった時には10人くらいになったので「10人来たよ！」「すごいな！」ってなりましたね。ストリートライブは毎週日曜日にやっていたんですが、最終的に300人くらい集まってくれるようになったんです。
――すごい、ライブハウスが埋まるレベルです。
相葉：そういうこともきっかけになったりして、僕はその後「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」の最終選考まで残ることができ、それで芸能界に入ったんですけど。あの時名古屋に行っていなかったら、ストリートパフォーマーとしても知られないままだっただろうし、芸能界にも入ってなかったんだろうなって思います。だから、行くか行かないか迷った時には、行ったほうがいいなっていうのはすごく感じましたね。夢咲さんの話もそうだけれど。
夢咲：うんうん、そうだね（力強く頷く）。
相葉：意外とチャンスって転がっているんじゃないかなって思います。やるかやらないかでも、やってみるのはいいことなんじゃないかなって。しかも、名古屋に行こうって言い出したのも本当に何気なくだったんですよ。そういうところにも、何か運命が変わる瞬間ってあるんだなと感じます。
――では最後に、公演を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。
相葉：2月は肌寒くて人肌恋しくなるような時期だと思うんですけど。心がほっこり温かくなるような作品ですし、心を動かしていただけるような内容になっていると思いますので、楽しんでいただけたら嬉しいです。ぜひ劇場に遊びに来てください。
夢咲：4人の何気ない日々が、四者四様に描かれているので、どの役にフォーカスしてもきっととても面白いのではと思います。楽曲も本当に軽快で、心が浮き立つような曲も多いですし、耳で聴いても楽しんでいただけると思うので、期待してお越しいただけたら！ お待ちしています。
取材・文：古原孝子
公演概要
オフ・ブロードウェイ ミュージカル『Ordinary Days』
Ordinary Days Music and Lyrics by Adam Gwon
【脚色・演出】田中麻衣子
【音楽監督・ピアノ演奏】落合崇史
【翻訳】藤倉 梓
【出演
相葉裕樹／夢咲ねね／斎藤瑠希・浜崎香帆（Wキャスト）／小池竜暉（GENIC）・中本大賀（円神）（Wキャスト）
【日時/会場】
＜東京公演＞2023年2月8日(水)〜12日(日) 俳優座劇場
＜大阪公演＞2023年2月18日(土) COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
【チケット料金】全席指定 11,000円（税込） ※プレビュー公演は500円引
【主催・企画・製作】 エイベックス・エンタテインメント
【公演に関するお問い合わせ】 公演事務局：https://supportform.jp/event（平日10:00～17:00）
※お問い合わせは24時間承っておりますがご対応は営業時間内とさせていただきます。なお、内容によってはご回答までに 少々お時間をいただく場合もございますので予めご了承いただけますようお願い申し上げます。
【公式HP】https://ordinarydays.jp/
【公式Twitter】@ordinarydays_jp
