内海啓貴インタビュー ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』「劇場でしか味わえない感動、それを生み出せる役者になりたい」(後編)
――「これがあるから舞台に立っていられる」と、内海さんが感じられるものはありますか?
それはやっぱり信頼できる仲間だと思います。落ち込んだときは人に何でも相談しますし、反対に相談を受ける側になることもよくあります。溜めておくのが嫌なタイプなので、誰かに吐き出すと「自分が悩んでいることって、たいしたことではないな」と思えるんですよね。
――ちなみに、今の現場(『グリース』)でも、そういうやりとりはあったのでしょうか?
ありましたね、特に稽古場で。『グリース』のキャストはだいたい1990年代生まれの集まりでして、そんな僕たちが1970年代のアメリカを舞台にした作品を作っていくのは結構難しかったんです。日本でもその年代を生きてきたわけではないのに、アメリカとなると映像で見ても想像が追いつかないのでハードルは高かったですね。
演出の上田一豪さんとも一緒に考えながら、食べ物、街並み、部屋の匂いなど、いろんなことを想像してみんなで作ってきました。
今回の『ラ・カージュ・オ・フォール』に関してもいろんな先輩方に相談して作っていけたらなと思います。
――挫けそうなときであったり、それこそロングランの公演でのご自身のテンションの保ち方であったり……内海さん流のメンタルケアの方法はありますか?
最近は好きな音楽を聞いたりしていますね。僕のおじいちゃんとおばあちゃんが地方でずっとスナックをやっているので、僕も昔から歌謡曲が大好きで、楽屋にいるときは『赤いスイートピー』を流していました。結構落ち着くんですよね。
挫けそうなときも、歌謡曲が一番だなと思っています。僕のルーツです(笑)。
――最後に、本作の意気込み、観劇を楽しみにされているお客さまにメッセージをお願い致します。
「異色の愛」がテーマのハッピーエンドで終わる王道ミュージカルなので、観に来てくださるお客さまには心から楽しんでいただきたいなという思いでいっぱいです。
歴史ある作品『ラ・カージュ・オ・フォール』。たくさんこの作品を愛している方がいらっしゃると思うので、僕もこれからもこの作品を愛して、先輩方の胸を借りて、頑張っていけたらいいなと思っております。劇場でお待ちしています。
取材・文:矢内あや
公演概要
ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール 籠の中の道化たち』
作詞・作曲:ジェリー・ハーマン
脚本:ハーヴェイ・ファイアスタイン
原作:ジャン・ポワレ
翻訳:丹野郁弓
訳詞:岩谷時子・滝弘太郎・青井陽治
演出:山田和也
オリジナル振付:スコット・サーモン
鹿賀丈史
市村正親
内海啓貴
小南満佑子
真島茂樹
香寿たつき
今井清隆
森 公美子
他
<東京公演>
2022/3/8(火)~3/30(水)
日生劇場
<名古屋公演>
2022年4月9日(土)・10日(日)
愛知県芸術劇場 大ホール
<富山公演>
2022年4月16日(土)・17日(日)
オーバード・ホール
<福岡公演>
2022年4月22日(金)~25日(月)
博多座
<大阪公演>
2022年4月29日(金)~5月1日(日)
梅田芸術劇場メインホール
<埼玉公演>
2022年5月7日(土)・8日(日)
ウエスタ川越 大ホール
企画・製作:東宝・ホリプロ