鈴木拡樹インタビュー 舞台『アルキメデスの大戦』「今後への希望になるような作品になったら」(前編)
――では、そんな櫂直という人物と役作りの上ではどのように向き合っていこうと思われていますか?
こだわりの強さといったところはかなり理解できたので、そこをより自分に浸透させていく作業は必要な気はしています。“同時進行でいろいろなことをできちゃう”という自分が持っていないところについては、(櫂直は)普段から書きながらでも会話の受け答えをしっかりとしている。“ながら”ではない人なんですよね。“ながら”でやっているように見えることでも、しっかりと両方をこなしていますし。その頭の良さというのは、自分が持っていない部分だからこそ、今回のために磨くしかない部分だったりするかもしれません。
――この作品で特に鍵になってくるのが、櫂の“数学者”という部分だと思うんですが。鈴木さんご自身は、数学はお得意ですか? それとも……。
得意じゃないです(笑)。
――理論派、あるいは感情派というところですといかがでしょうか?
いやぁ……、うーん(笑)。 多分僕、全然理数系じゃないですね。答えもしっかり明確に求めるタイプでもないですし。ただ、思ったことや直感、「こうかもしれない」という気付きのほうを、僕は大事にしているんです。とまぁ、そんな感じなので、数学とはかなり合わないようには思うんですけど。何かに興味を持つということについては、僕も同じなので。数学も知らないことだらけですし、まずは初歩的なところからちょっと入ってみようと思って、簡単な「数学が楽しくなる本」みたいなものを買いました。
――数学との距離をちょっとだけ縮めてみようと取り組まれているわけですね(笑)。
そうですね。ちょっと縮めてみて。もう、今の僕の数学レベルはその程度です(笑)。
“ザ・会話劇”になるだろうと今の時点で感じている
――今作の脚本を手掛けているのは、劇団チョコレートケーキの古川健さん。そして演出を担当されるのが、同じく劇団チョコレートケーキの日澤雄介さんですが。日澤さんの演出では、どんなところを楽しみにされていますか?
2年前のインタビューの時に日澤さんとご一緒して、なんとなくではありますけど人柄が分かったので、少し安心している部分はあります。実は気難しい方だったらどうしようという思いが先行していたんですけど(笑)、とても穏やかそうな方でしたし。芝居をつけている時はまた雰囲気が変わるかもしれないですが。あまり難しく考えることはなく、普通に(稽古などを)やっていく中で知っていくのかなとは思います。台本を見る限り、けっこうな分量のセリフだったので、これはもう“ザ・会話劇”になるだろうなというのは、今の時点で感じています。