笹本玲奈インタビューミュージカル『東京ラブストーリー』　「生きる上でのヒントや勇気をもらえる作品」（後編）

2022.09.01

INTERVIEW

ミュージカル『東京ラブストーリー』が11月27日より東京建物 Brillia HALL、12月23日より梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、1月14日より刈谷市総合文化センター大ホールアイリス、1月21日よりJMSアステールプラザ大ホールにて上演されます。

恋愛の神様と称される漫画家・柴門ふみの「東京ラブストーリー」は1988年に発表された大ヒット作。その後、トレンディドラマとして映像化されると、日本はもちろんアジアでも爆発的な人気を集めました。その「東京ラブストーリー」が今秋ミュージカルとして蘇ります。

時代設定を現代に置き換え、舞台版ならではのキャラクターも登場予定。物語は、主人公のカンチ(柿澤勇人さん/濱田龍臣さん)が2018年春に愛媛に本社がある「しまなみタオル」から東京支社に異動することになることから始まり、共に新プロジェクトを担当することになるリカ(笹本玲奈さん/唯月ふうかさん)と出会います。ある日、上京している地元の高校の同級生・三上(廣瀬友祐さん/増子敦貴さん)と会うとそこにカンチが昔思いを寄せていた関口さとみ(夢咲ねねさん/熊谷彩春さん)もやって来たことから、4人の恋が動きだすというストーリー。

THEATER GIRLは、空チームで赤名リカを演じる笹本玲奈さんにインタビュー。後編では、作品にちなみ、笹本さんが「愛してやまないもの」やこの半年間を振り返った印象をうかがいました。

インタビュー前編はこちら

現代風のビジュアルは「より自分自身と重ねやすそう」

――笹本さんは海外が舞台の作品に出演されることが多い印象がありますが、今回は日本が舞台となりますが、取り組み方が異なる点はありますか？

確かに、ミュージカルで日本人の役をやることってそんなにないかもしれないです。今まではあまり深く考えたことがなかったですけど（笑）。でも普段ミュージカル作品だと、ドレスを着たりウイッグをつけたりするのが当たり前だったので、今回はちょっと違和感を覚えるかもしれないですね。

――今回は、ビジュアルも現代風ですし、割と普段の姿と近いようなイメージで演じられる感じなのでしょうか？

より自分自身と重ねやすかったり、同じ日本人なので「自分だったらどう思うか」ということが役に利用できたりするかもしれないですね。普段ミュージカルに出演しているときは、国民性や「外国の人はそういう風に捉えないよね」ということをよく考えるんですけど、今回はそういうことに頭を悩ませることはないのかなと思いますね。

笹本さんが愛してやまないものとは……？

――本作は、ラブストーリーですが、笹本さんが「愛してやまないもの」はなんでしょうか？

愛してやまないものは、子供ですね。もう結婚して6年目なんですが、今回台本を読んで、恋愛している人たちが羨ましいなと思ったんです。自分にはもうまったく縁がないので（笑）。台本を読みながら、韓国ドラマを観ている時のウキウキ感みたいなものを感じたり、自分の過去と重ねたりして懐かしい気持ちになりました。

――仕事とご家庭の両立で忙しい日々を過ごされているかと思いますが、笹本さんなりにオンとオフで切り替えていることや、工夫していることはありますか？

オンとオフの切り替えは意識的にするようにしていますね。稽古中もなるべく家では台本を開かないようにして、セリフ覚えも外でやるようにしています。なるべく自分の心と体を休めるために、玄関に入ってからは仕事のことは一切考えないようにすることを意識しています。

元々、役や作品のことをずっと考えてしまうタイプなので、誰かを演じている期間が長いと、なかなか自分を取り戻せなくなってしまうんです。夢にも出てくるぐらいずっと考えてしまうので、あえて意識して切り離すようにしています。

音楽がミュージカルの最大の魅力

――笹本さんはストレートプレイの作品や映像作品などにも出演されていますが、ミュージカル作品で魅力に感じる部分や楽しいと感じるところはどんなところでしょうか？

観ているお客様もそうだと思うのですが、音楽がミュージカルの最大の魅力だなと思います。演じていてもすごく気持ちを乗せてくれますし。

ストレートプレイは、自分自身の言葉や立っている姿で全てを表現しないといけないからこそ難しいのですが、ミュージカルは、前奏が流れてくると「自分を表現しなきゃ」という気持ちに自然と持っていってもらえて、歌いながら曲とともに感情がどんどん溢れていくので。そういう感情を持っていってくれたり、観ている人の心も動かしたりするところが、ミュージカルの魅力だなと思います。

――音楽があると、気持ちもより乗せやすくなるんですね。ストレートプレイはやはり難しいと感じる部分も大きいのでしょうか？

そうですね。だからこそ、時々でお芝居を経験しなければと思うのですが、やっぱりずっとミュージカルをやっていると、どこか音楽に甘えてしまう部分が出てきてしまうんです。本当はミュージカルも、ストレートプレイと同じでお芝居が一番大切だと思うので、ストレートプレイや映像作品など、音楽に頼れないものにも定期的に挑戦していきたいなと思いますね。