北乃きいインタビュー 『真夏の夜の夢』 「未完成だからこその、いい緊張感を感じています」
――今回、野田秀樹さんが潤色された脚本を、シルヴィウ・プルカレーテさんが演出されるという、豪華なタッグが初実現したわけですが。先ほども少し触れていらした野田さんの脚本について、最初に読まれた時の感想はいかがでしたか?
とても面白かったですし、「役者としてこの言葉を早く言いたい」と感じるセリフがたくさんあって、わくわくしましたね。今回は野田さんの脚本を、プルカレーテさんの解釈を通して上演するので、そっくりそのままというわけではないんですけど。
――オーディション時のプルカレーテさんは物静かな方だったとのことでしたが、実際に稽古でのやりとりをするようになって、その印象は変わりましたか?
大分変わりましたね。熱量がすごくて、リモートで画面越しなのに、3Dみたいなんですよ(笑)。通訳さんがいらっしゃるんですけど、言葉が分からない状態のままでも、ダメだったのか、よかったのかが伝わってくるくらい、リアクションが分かりやすいです。ダメだった時には頭を抱えたり、よかった時には「トレビアン!」と言ってくれたりしますし。すごくはっきりされているので、わりとメンタルが鍛えられます(笑)。
群像劇として楽しめる「真夏の夜の夢」
――ときたまご役としての、今作の見所を聞かせてください。
そぼろ(演・鈴木杏さん)、ときたまご、デミ(演・加治将樹さん)、ライ(演・矢崎広さん)の4人が絡むシーンは、“ときたまごの”というより、この芝居の見せ場なんじゃないかなと思います。稽古が進むうちに、誰かが突出しているというより、みんなが主役という感じの印象になってきているので。いろんな色がバランスよく配置されている雰囲気です。
だから、自分の役の見どころと言うよりは、掛け合い芝居で起きていることや、シーンごとの雰囲気を楽しんでもらえればと思いますね。
――群像劇的な雰囲気なのでしょうか?
群像劇ですね。全体を観て面白くなるように、プルカレーテさんが作っていっている感じです。