北乃きいインタビュー 『真夏の夜の夢』 「未完成だからこその、いい緊張感を感じています」
――コロナ禍において、ようやく舞台界も活気を取り戻しつつあるように感じられます。その中で全国6会場を巡る公演に臨むのは、どんな気持ちでしょうか?
すごいことですよね。以前から決まっていたスケジュールなので、これだけの会場を巡るのは特に珍しいことではないと思うんですけど。私にとっては、今までで一番会場数が多い公演かもしれないです。これまでは2~3ヶ所くらいだったので、地方公演を廻るっていうことをしてみたかったんですよ。だって、場所がいくつも変わって、舞台の大きさなんかも変わるから、すごく鍛えられませんか。
同じことを別の場所でやると全然ちがうなというのは、東京と大阪でやっただけでもすごく感じたので。舞台の作りだけじゃなく、音の響きなんかもちがう。それによって演出も変わったりするから、それこそ飽きないと思いますし、面白いです。
――刺激になることが多そうですよね。
あとはやっぱり、地方に住んでる方のところへ、こちらから行けるのはすごくいいなぁと思って。東京公演だけだと来られない方もいたりするので。
――そうですよね。それに今の状況だとまだ、長距離の移動をためらう方も多いかもしれないですし、近くで公演があったら観る側としても嬉しいのではと思います。
ですよね。こういう状況なので、地方での食事を楽しみにはできないんですけど(笑)。それよりもこの状況で、地方公演も含めてやり切ったらすごいと思うし、糧になる気がするんです。
――作中では、 惚れ薬が登場し、登場人物たちの気持ちに様々な変化が起きます。それにちなみまして、北乃さんが今、いちばん夢中になっているものは何でしょうか?
芝居以外でですか? 難しい! 私、本当にひとつ芝居に入ると、誰とも連絡をとらなくなるくらい、視野が狭くなってしまうんですよ。誰かとご飯を食べに行ったりもしなくなるし。周りの人もそれを知っているから、誘いもなくなるので。13歳の時からずっとそうなんです。連ドラに入っている時もそうしているので、本当に友達がいなくなっちゃって。今、2人です。
――えっ。
でも、それでいいかなって(笑)。(芝居が始まると)本当にいつもそれだけになっちゃうんですよ。だから、ほかに夢中になるものがあると、きっとダメなんだと思うんです。そうなったら多分、芝居が真剣にできなくなってしまう。それくらい不器用なので。
役に入ると、布団の敷き方からご飯の食べ方から全部変わるんです。割烹料理屋の娘・ときたまご役を始めてからずっと、自分では意識してなかったんですけど、毎日3食納豆を食べていて。
――それが無意識ってすごいですね(笑)。
稽古前に一人で外で食べる時には、和食屋さんしか入らないですし。スパゲティもカレーライスも、もうかれこれだいぶ食べてないです。そうしようと思っていなくても、勝手にそうなるんですよね。役作りの一環として、やろうと思ってやる時もありますけど、今回はそうじゃないんです。今は一度、ご飯を食べたくなっちゃうから納豆をストップしていて、昼に毎日ゆで玉子を食べてます。朝・プロテイン、昼・ゆで玉子、夜・プロテインで……って、あ! 玉子食べてますね(笑)。
――あはは! ときたまごが、玉子を(笑)。
昨日も2個、お昼に稽古場で食べました。食べる前に必ず手洗いはするんですけど、マスクを取って口を開けてる時間を短くしながら、いかにプロテインを摂るかって考えたら、プロテインと玉子になったんです。気付かないうちに玉子を摂ってましたね、共食いです(笑)。
役者としてステップアップの手応えがある舞台
――最後に、今作に対する意気込みを聞かせてください。
今回は、すごい先輩たちに囲まれてのお芝居なので、たくさん吸収しようと思っています。今はプルカレーテさんの付けられる演出によって、セリフの言い方や表情など、たくさんの初めてを経験しながら、新しく自分の引き出しを作ってもらっている段階で。役者としてステップアップできたらいいなと思いますし、ぜひたくさんの方に観ていただきたいですね。
それにこんな時だからこそ、こういうダークな部分もあるファンタジーでちょっと現実離れした作品を観ていただくのも、とてもいいんじゃないかと思うんです。プルカレーテさんの演出で、中弛みなしで楽しんでもらえる話になると思いますし。食べ物で言うなら、玉子かけご飯くらいの感覚でいけると思います!
――では、演劇にはあまり慣れていないという方にもおすすめでしょうか?
そう思います! 3時間を超えるくらいの作品になると、観るほうも気合いがいりますよね。それに、シェイクスピア、野田さん、プルカレーテさんといろんな要素があるので、幅広い層の方に楽しんでもらえるお芝居になっていると思います。ぜひ足を運んでもらえたら嬉しいです。
取材・文:古原孝子
Photo:比留川義一
東京芸術祭2020 東京芸術劇場30周年記念公演
「真夏の夜の夢」
【東京公演】
日程:2020年10月15日(木)~11月1日(日)
会場:東京芸術劇場 プレイハウス
【新潟公演】
日程:2020年11月7日(土)~11月8日(日)
会場:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
【松本公演】
日程:2020年11月15日(日)
会場:まつもと市民芸術館 主ホール
【兵庫公演】
日程:2020年11月20日(金)~22日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【札幌公演】
日程:2020年11月27日(金)
会場:札幌市教育文化会館 大ホール
【宮城公演】
日程:2020年12月5日(土)
会場:えずこホール(仙南芸術文化センター)大ホール
原作:ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳「夏の夜の夢」より
潤色:野田秀樹
演出:シルヴィウ・プルカレーテ
出演:
鈴木杏、北乃きい、加治将樹、矢崎広/
今井朋彦、加藤諒、長谷川朝晴、山中崇、河内大和、土屋佑壱、浜田学、茂手木桜子、八木光太郎
吉田朋弘、阿南健治、朝倉伸二、手塚とおる、壤晴彦
公式サイト:https://www.midsummer-nights-dream.com/
公式Twitter:https://twitter.com/MidsummNights
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