和合真一、壱位仁井、岡本貴也インタビュー 『死ヌ事典 _ars_moriendi』「同世代の人たちが、いろいろなことを思って生きていることが感じられる」
和合:じつは3~4年前に、一度(岡本さんと)一緒にやらせていただいたことがあって。まだ役者を始めたばかりの頃で、寡黙な忍者の役だったんですけど、蓋を開けてみたら微塵もセリフがなかったんです。動きで面白おかしくするみたいな感じで、岡本さんも現場現場でどんどんアイデアが湧いてきて、笑いのシーンがだんだん増えていったんですよね。
その頃からですね、和合真一がちょっとおかしいぞと、この役者様子がおかしいぞというところが既にちょっと出始めまして(笑)。それからはどんな真面目な役をやってもちょっと“和合み”が出てしまうという。僕自身は真面目にやってるつもりなんですけど、ちょっと変っていう(笑)。なんか、にじみ出ちゃうんですよね。
もしくは、当て書きだったり、キャスティングの時点で、「この役は和合さん」という感じで、けっこう飛び道具とか面白おかしい役が本当に多くて。岡本さんがおっしゃっていたように、和合にはどちらかというと笑いを求めてるみたいなファン層がすごく多かったりするので。だからそういった中で、いい意味で裏切りたいっていうのは、僕としてもめちゃくちゃ意気込みとしてありますね。
本当に、“この和合”じゃなくて、役として、一人の人物として見てもらいたいというところがあるので、いかに物語の中に溶け込むかっていうのが、今の自分の中での課題というか。僕の出演する話が、本自体はすごくコミカルだったんです。だから顔合わせや本読みの段階では、結構コミカルに演じなきゃいけないのかなと思ってやっていたんですけど、稽古をやってくうちに、周りの方がうるさくというか、どんどん個性豊かになってきて(笑)。
岡本:今回、笑いは周りの出演者が取るだけで、和合さん演じる主人公は笑いを取らないんです。 若い企業戦士のようなちゃんとした男が、路上生活するまでに落ちていく話なんですけど、その過程で周囲に振り回されるというか。これは誰にも起こりえることだし、もしかしたらこれは私だったかもしれない、というようなストーリーを目指しました。和合さんには結構シリアスに演じてもらおうと思っています。