ミュージカル『フランケンシュタイン』初日囲み取材レポート!「感謝を込めて挑みます」

ミュージカル『フランケンシュタイン』が4月10日に東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)で開幕した。
囲み取材には、ビクター・フランケンシュタイン/ジャック役の中川晃教と小林亮太、アンリ・デュプレ/怪物役の加藤和樹と島 太星が登壇。公演に向けての意気込み、中川のステージ上でのハプニング、今回も差し入れで共演者の胃袋をつかんだ加藤、緊張のあまり悪夢にうなされた小林の行動、さらには新キャスト・島の天然炸裂コメントなど、取材陣も爆笑連発の会見の模様をお届けする。
新キャストを迎え、生まれ変わった『フランケンシュタイン』をお届け!
韓国発ミュージカル『フランケンシュタイン』は、日本では板垣恭一の潤色・演出、森雪之丞の訳詞で2017年初演、2020年再演に続き、5年ぶり3度目の上演となる。
初演から続投の中川晃教、加藤和樹に加え、今回はWキャストとして小林亮太、島 太星という若手実力派が出演。
初日に先駆けて行われたゲネプロでは、安定感の中に狂気と熱量を感じさせる中川×加藤ペアと、フレッシュさと同時に底知れぬ爆発力を秘めた小林×島ペア、それぞれの魅力を心ゆくまで堪能できた(※写真レポートを参照)。
公演前の現在の心境を聞かれた中川は「初日に向けて、いいステップを一歩一歩確実に登ることが出来ているという実感があります。この素晴らしいチームなくして私たちの今日の初日はないということを、今ひしひしと感じているところです。感謝を込めて挑みます」と気合十分!

一方、小林は「改めて感じたのは「とんでもない作品だな」ということ(笑)。僕と太星くんが今回することで、2025年に“今の風”を持った『フランケンシュタイン』お届けできればいいなと思っています」と初々しいコメント。

また、演者であると同時に本作の大ファンと公言する加藤は「今は幕が明けるのが楽しみでしかありません。5年ぶりの再演、そして小林くんと島くんを筆頭に新たに加わったメンバーと共に、新しく生まれ変わった『フランケンシュタイン』をお届けできるのではないかと思っています。先ほど二人のゲネプロを観て、新たなアンリとビクターの誕生に歓喜に打ち震えるのと同時に、早くお客様にお届けしたいなと思っている次第です」と、はやる気持ちを抑えきれない様子。

その横で緊張の表情を浮かべていた島は「日本版『フランケンシュタイン』に出演させていただけることが、とても嬉しいです。僕と亮太くんがスパイスとなって、アッキーさんと加藤さんが作り上げてきた大切な作品を、いい意味でぶち壊せたらいいなと思っていますし、皆さんも楽しみに観に来てくださる……んでしょうね?」と、最後はなぜか疑問形?

これには取材陣も思わず爆笑! 予想外の島の天然っぷりに、一気に緊張していた空気が和んだ気がしたのだった。
続いて「それぞれのペアの見どころ」について質問が及ぶと、
「ここはやっぱり楽しみなポイント! 小林くんと僕の組み合わせ、島くんとアッキーさんの組み合わせも新鮮です。なんかね、違うんですよ」とワクワクした表情の加藤。
中川も「観ている私たち自身、なんかちょっとヒリヒリした気持ちになる。違うペアで見るたびに二度おいしい、三度おいしいのはもちろん、『フランケンシュタイン』という作品自体が飽きさせない、ノンストップで観ることが出来るエンターテインメント。それを潤色という形で日本の演出家&クリエイターが作り上げる三度目の上演ですから、私たちも高いところを目指す、その心の準備は万全です!」と熱く語る。
その言葉を受け、改めて加藤が「僕自身、三度目ということで稽古の段階から「新しいものを作ろう」と考えすぎてしまっていた部分があったかも……。去年、韓国で全キャストの組み合わせを観劇したのですが、それでちょっと冷静になれたし、いま一度原点に戻ることが大切と思えた。昨日のゲネプロで自分の今回の方向性が決まった感じがあったので、本番では新鮮な気持ちで臨みたいと思います」と決意を語った。
そんな頼もしい先輩たちを憧れのまなざしで見つめていた島は、「おふたりのファンになってしまいました。ホントに大好き♡ お芝居や歌唱力だけでなく、人間性も素晴らしいお兄さんたちです」と、いきなりの告白!?
島のストレートな好意に思わず照れ笑いを浮かべる中川と加藤。再び取材陣からは大きな笑いが起こったのだった。

こだわりの煮込みハンバーグで共演者の胃袋をガッチリつかんだ
「本作で大変なところは何?」という質問に対し、「僕、昨日のゲネプロでちょっと負傷しまして……」と中川がまさかの告白。
「独房に入れられたアンリとの別れのシーンで、激しく抱き合った瞬間、勢いのついた僕の手が和樹さんの背中で“交通事故”を起こして右手中指を突き指してしまったんです。でも僕が負傷していることを知らない和樹さんは、素晴らしい表情で僕の手を思いっきりギュッと……。その痛さにもがきながら僕は気づいたんです。「人間にはあって怪物にはないもの。それはまさに心。それを知るうえでこの痛みはきっと必要なんだ」って思いながら、激痛に耐えてお芝居を続けました」
ユーモアを交えた中川のコメントに続いて、小林は緊張のためか昨夜悪夢を3本立てで見たというエピソードを披露。「その悪夢というのがカンパニーのみんなに追いかけられる夢だったんです。「僕、この座組大好きなのに、なんで今日に限ってこんな夢を見るんだろう?」と思いました。だから劇場に到着してからひとりひとりに「おはようございます! よろしくお願いします!」って挨拶をしてからゲネプロに挑みました(笑)」と、はにかんだような笑顔を見せた。

加藤は、「怪物を演じた人にしか分からないエピソード」だとし、「布面積が少ないもんですから、どうしてもケガというか……割と服の下はアザがいっぱいあったりします。そういう肉体的な大変さは、我々はあるよね?」と、隣の島に同意を求める。
「そうですね。僕は怪物とアンリの共通点……孤独を体験したいと思って、プライベートでも孤独を体験したいと思っているんですけど、毎日が本当に幸せなんですよね。でも今日は孤独になるような音楽を聴きながら劇場に着いて、楽屋にも和樹さんがいなかったので「また孤独増えた!」と思っていたら、ゲネがないはずの和樹さんがすごく早く楽屋に入って来て、孤独が1個消えちゃって……」と、しょんぼりした表情になる島。
その姿を見て「えー、なんかゴメン!」と謝る加藤に「いえ。お母さんが来たような感じで安心しました(笑)。でも本番が始まってからは日々もっともっと孤独を見つけていかないと。少しでも私生活の幸せに満足してしまったら、この作品に影響を及ぼしてしまうと思うんですよね」と、役と同化するために孤独に対して貪欲な姿勢の島。不器用だけど素直な彼の今後の成長が楽しみだ。
また、作品のテーマにちなんで「今、皆さんが一番感じている“欲望”を教えてください」という質問がされると、
「僕は食欲ですね。今回、体を作るにあたってちょっと個人的に体重を4~5キロ落としました。食事制限もしているので気にせず食べたいですね」と加藤。
「今回、共演者に料理はふるまわなかったのか?」と聞かれ、
「煮込みハンバーグをふるまいました。今回、ソースからこだわって作ったんです」と小林に目線を向ける。
「ジャーに入れた煮込みハンバーグを和樹さんが稽古場に持ってきてくださったんです。自分は一人暮らしなので久しぶりに温かな手料理を食べてまんまとおとされました(笑)。素晴らしい兄貴です」とニコニコの小林。餌付け成功!?
中川から「なんでこんなに料理上手なの?」と聞かれ「分からないです。ただ料理が好きなんです。料理している時は何も考えていないし、いいストレス発散なんですよね」と答える加藤だが、「ノンストレスか。布一枚みたいなもんだね」という中川のツッコミに、食い気味に「ちゃんと服着て料理してます(笑)」と返答。
コントのようなやり取りから、共演者の仲の良さが伺える会見となった。

文:近藤明子
撮影:THEATER GIRL編集部
中川晃教×加藤和樹共演。ミュージカル『フランケンシュタイン』開幕フォトレポートはこちら
小林亮太×島 太星共演。ミュージカル『フランケンシュタイン』開幕フォトレポートはこちら
中川晃教インタビュー 『フランケンシュタイン』「ミュージカルは可能性の扉」(前編)
公演概要
ミュージカル『フランケンシュタイン』
出演:
ビクター・フランケンシュタイン/ジャック(W キャスト):中川晃教/小林亮太
アンリ・デュプレ/怪物(W キャスト):加藤和樹/島 太星
ジュリア/カトリーヌ:花乃まりあ
ルンゲ/イゴール:鈴木壮麻
ステファン/フェルナンド:松村雄基
エレン/エヴァ:朝夏まなと ほか
音楽: ブランドン・リー
脚本 / 歌詞:ワン・ヨンボム
潤色/演出:板垣恭一
訳詞:森 雪之丞
音楽監督:島 健
振付:黒田育世 当銀大輔
オリジナルプロダクション:ワン・ヨンボムプロダクション
製作:東宝/ホリプロ
【東京公演】
2025年4月10日(木)~4月30日(水)
東京建物 Brillia HALL (豊島区立芸術文化劇場)
【愛知公演】
2025年5月5日(月祝)~5月6日(火祝)
愛知県芸術劇場 大ホール
【茨城公演】
2025年5月10日(土)〜5月11日(日)
水戸市民会館グロービスホール
【兵庫公演】
2025年5月17日(土)~5月21日(水)
神戸国際会館こくさいホール
【公式サイト】
https://www.tohostage.com/frankenstein/
https://horipro-stage.jp/stage/frankenstein2025/