加藤和樹インタビュー ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』 「この世界で生きるジャックとアンダーソンを丁寧に作り上げたい」(前編)
――立ち稽古が始まっているとのことですが、芝居するにあたって「ここ難しいな」と感じる部分があれば教えてください。
これは稽古場にありがちなのですが、どうしても本番と同じ舞台セットではないので、舞台に立ったときのイメージがしにくい瞬間はあります。舞台美術の絵を見ながら、「今こういうシーンで、こういうものが飾られている」というのを、頭の中で膨らませていくしかないので……。「ここが自分の生きている場所だ」という認識がなかなか入ってきにくいといいますか。これはどの現場でも同じで、仕方のないことではありますが、想像力で場面を補っていかなければいけないのが少し難しいです。
―― どのような舞台美術になっているのでしょうか?
ミニチュアの街があって、橋があって……僕が想像していたものとは全く違う舞台美術でした。韓国で観たときは、真ん中に大きな道があって、それが回転していろんなセットが出現しながら絵が変わっていく仕様だったので。
――韓国版とは少し違った雰囲気なのですね。
今回は、そこに生きている人たちが、違和感なく世界を転換して舞台を作っていくのが見どころだと思います。白井さんは、そういったことを役者にやらせたがるので……やらせたがるという言い方はちょっとあれかな(笑)。
僕も実際に舞台を観ていると思うのですが、スタッフさんが舞台転換するのが見えてしまうと気持ちが少し冷めてしまうんですよね。もちろん暗くて見えてなければいいのですが。今まで僕が携わってきた白井さんの作品は、役者が芝居の中で舞台転換して違う場所になっていくことが多くて。そうすることで僕たちも集中したままその世界観の中にいられるので、それを今後どう作っていくのかも楽しみなところです。
――実際に役者のみなさんで転換をしながら、世界を作っていかれるのですね。
はい、まさに手作りでやっています。