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松下優也インタビュー ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』 「世界観や役柄が自分と合いそうと感じ、すぐに出演を決めた」(前編)

INTERVIEW

――とてもいいカンパニーということが伝わってきます。演出の白井さんのお話が先ほど出ましたけれども、演出受けられた印象について改めてうかがえますか。

日々さまざまなお言葉をいただきますが、特に内面の感情と、実際の体の動きの両方のことを細かく考えて演出してくださっているのがよく伝わってきます。

今はまだ形付けしている段階なのですが、体の動きからどんどん作っている感じですね。内面から演出をされる方もいらっしゃる中、僕はそこが意外だなと思いました。もしかしたら内面の部分から作り始めたら、この稽古期間だと間に合わないからかもしれません。なので、おそらく稽古の後半につれて合わせていくのかなと思います。ただ、どんなことでも理由付けされているのが分かるので、「なぜ今これを行うのか?」とか、「何の稽古をしているのか?」といった疑問は一切ないですね。

――白井さんの演出に関して、全て納得したうえでお稽古に励んでいらっしゃるんですね。

はい。自分に落とし込んでやっています。白井さんがそういうふうにやってくださっているのも、きっと役者のことを信頼してくれているからこそなのかと。

僕は、稽古場というのは演出家と役者が勝負する場ではないかと感じている部分があるんです。演出家が思ってもいないようなことを役者がやって、「そのアプローチは自分から出てこなかったけれど、それもいいね」と言わせたら勝ちだと思っていて。自分はちょっとあまのじゃくなところがあるので(笑)、そういうのも大事なのではと思っていますね。演出家が埋められなかった部分を役者が埋めていくといいますか。

演出家は全体を見て舞台を作っていきますが、僕らは役をもらってその役だけに向き合うので、自分の役のことを深く考えるのは当然だと思っていて。全体としてどういうふうにいなければいけないというのは決まっていますが、そういう意味でいうと僕はわりと自由にやらせていただいているように感じます。白井さんもその場その場で緻密に細かく演出を付けてくださるし、おそらくかなり考えたうえでいろいろやってくださっているのではないかなと。

――お稽古しながらも実際に演出家さんに「この表現の仕方はどう?」と提案しているような感覚なのですね。

そうですね。特にミュージカルは、この台詞を言ったらこの音楽が流れるというのが分かっているので、その音楽に気持ちを持っていけるようにお芝居を作っていかないといけないのですが、たどり着き方は何通りもあるというか。役者も日によってテンションが違うこともあるので、全く同じ芝居というのはないと思います。

それが僕にとっては心地がよくて「絶対にこれでなくてはいけない」と決められているよりも、そっちの方が好きなんですよね。決まったことをずっとやりたくないタイプといいますか……、もしかしたらやれないといったほうが正しいかもしれません。たとえば相手の台詞のトーンが今日は少し違ったとして、それに対して前日と同じようにこちらが返してしまったら違和感がありますよね。そういう意味では、毎日違うお芝居ができるので、稽古場は非常に楽しいです。

取材・文:THEATER GIRL編集部
Photo:山内洋枝(PROGRESS-M)
ヘアメイク:天野誠吾

インタビュー後編はこちら

木村達成さんのインタビューはこちら

加藤和樹さんのインタビューはこちら

公演概要

ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』

<東京公演>
2021年9月9日(木)~29日(水)
日生劇場

<大阪公演>
2021年10月8日(金)~10日(日)
フェニーチェ堺 大ホール

キャスト:
ダニエル:木村達成・小野賢章(Wキャスト)
アンダーソン:加藤和樹・松下優也(Wキャスト)
ジャック:加藤和樹・堂珍嘉邦(Wキャスト)
グロリア:May’n
ポリー:エリアンナ
モンロー:田代万里生 他

スタッフ:
作曲:Vaso Patejdl
作詞:Eduard Krecmar
脚本:Ivan Hejna
演出:白井晃

公式サイト:https://horipro-stage.jp/stage/jacktheripper2021/

ストーリー

1888年ロンドン。

刑事のアンダーソン(加藤和樹・松下優也)は娼婦だけを狙う、“ジャック・ザ・リッパー”と呼ばれる殺人鬼(加藤和樹・堂珍嘉邦)を追っていた。残忍な犯行で解決の糸口も見えないため、マスコミを排除し非公開で捜査を進めようとする。 しかしロンドンタイムズ紙の記者、モンロー(田代万里生)はスクープ記事のネタを狙って アンダーソンに近づく。 モンローは、麻薬中毒者で金が必要なアンダーソンの弱みにつけこみ、情報提供の取引に応じさせてしまう。

4度目の殺人現場で、アンダーソンの前に男が現れ「犯人を知っている」と告白する。「そいつの名前はジャックだ」と。 彼は、7年振りにアメリカからロンドンにやってきた外科医ダニエル(木村達成・小野賢章)。 7年前、ダニエルと元娼婦のグロリア(May’n)はジャックと出会っていた。

犯行が重ねられ事件は混迷を極めていく一方。 アンダーソンはダニエルの告発に基づき、おとり捜査を計画するが、ロンドンタイムズ紙は “ジャック・ザ・リッパー”の殺人予告記事の号外を出してしまう。 そして、アンダーソンと彼のかつての恋人だったポリー(エリアンナ)までもが事件に巻き込まれる。

果たして、殺人鬼“ジャック・ザ・リッパー”の正体とは…?
そして、本当の目的とは…?

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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