• HOME
  • topic
  • INTERVIEW
  • Coloring Musical『Indigo Tomato』出演 平間壮一さん、長江崚行さん特別インタビュー

Coloring Musical『Indigo Tomato』出演 平間壮一さん、長江崚行さん特別インタビュー

INTERVIEW

稽古で描いたトマトが1人だけリアルだった

――舞台全体のお話になりますが、前回と演出的なところでの違いはありますか?

平間:演出の小林(香)さんが「再演ではベクトルを変えたい」とおっしゃっていて。前回は現実味がありながらも、どこかファンタジーな世界観。でも、今回は自閉症の方を見る冷たい目線とか、周囲の人間の現実味を増やそうって流れになってきています。ミュージカルでありながら、ストレートプレイに近い感じになってきていると思いますね。

―― 新キャストである長江さんはどんな心境で稽古をされていますか?

長江:とにかく必死です(苦笑)。もともと一度つくり上げられて、お客さんのもとに届けられた作品。そこに入っていくプレッシャーを感じつつ、稽古に励んでいる感じですね。

ただ、現場の雰囲気もすごく温かくて優しい方たちばかりなので、伸び伸びとやらせていただいています。みなさん演技がうまいから、勉強になることばっかりで。毎日、なにかしらの発見を家に持ち帰っています。その点は、すごく恵まれているなと思いますね。

――平間さんは再演にあたって「同じ事をやると言う意味じゃなくて新しい気持ちで。わかってる分、深く。」とツイートをされていましたが。具体的に「深く」なったと感じるところはありますか?

平間:初演ではフィルターが何枚もある分、一生懸命やらないとタカシになれない感じがあったりもしたんです。それが今回はすんなり入ってきて、稽古で共演者と受け答えしているうちに、思うことも変わってきたりしています。

タカシとして相手の言っていることを受け入れて、そのときになにを返すだろうっていうようなところで深くなった感覚がありますね。

――今年7月、長江さんは昨年マモル役を演じた溝口琢矢さんと会ってお話したそうですね。

長江:「『Indigo Tomato』の再演に参加させていただきます!」とお伝えしたら、「頑張って! よろしくね」と。あんまり大した会話はなかったですね(笑)。ただ、溝口さんと話していて「マモルを構成してる人の雰囲気ってあるんだな」っていうのは感じました。

平間:似てるんですよ、稽古の仕方とか。たとえば最初に「じゃあトマトの絵を描いてみて」っていうような稽古をするんですけど、できあがった絵の感じが同じなんですよね。共演者の方たちはみんなわりと大ざっぱなんですけど、1人だけすごくリアルなトマトで(笑)。

長江:僕の感性のなかにファンタジーがなかったんですよね。わかんないですけど、マモルもすごくリアルを感じてる子なのかなって。中学を出てから、すぐにはたらいて兄を支えるなかで、自分の感情が現実に淘汰されてくのを無意識に感じてたんじゃないかと。少なくとも、その日の稽古では、ですけど(苦笑)。

この作品を通してはじめて反抗期を経験してる

――平間さんは「サヴァン症候群」という難しい役どころです。初演では、どんなふうに役づくりをされたのでしょうか?

平間:サヴァン症候群って言っても、人によって感じ方や反応が違うみたいで。だから、ある意味で自由度が高いんですよね。ただ、1個のできごとに2個反応しちゃう特徴があると聞いたので、その部分は意識しました。

たとえば音が鳴ったら耳だけじゃなく、どこかの神経が連動してからだの一部が動いちゃうとか。それで、「高めの音が鳴ったら青色が見える」「低めの音が鳴ったら肩が動く」とか自分なりの設定をつくるようにしたんです。それからは少し演技しやすくなりましたね。

――かなり論理的に演じられていたと。再演にあたって、前回と違った感覚はありますか?

平間:実際の台本に「この人には(相手の声から)オレンジ色が見える」とかって書いてあるんですけど、初演のときは意識して見ようとしてたんですよ。けど、今は自然と声や音から流れているものが見えるようになった。それがやっていて面白いですね。

――長江さんは弟・マモル役をはじめて演じられますが、どんな試みをされていますか?

長江:そもそもサヴァン症候群の兄と2人で生きていくってことに対してのリアリティを持ってる人は少ないと思うんです。だからこそ、自分の経験のなかでうまく組み立てつつ、ないものは取り入れつつという感じですね。

ただ、現場で稽古してると、兄ちゃんが障害者に見えないときがあるんですよ。普通の人よりできないことはあるかもしれないけど、やれることもいっぱいある。一方で、すごいことができたりする人でもあるから、まだ僕のなかで不思議な感じがするというか。うまくマモルが自分になじんで、ずっと兄ちゃんを支えてきた人になれたらいいなって思いますね。

平間:たぶん舞台を観ると「タカシ、思ったよりできるじゃん」ってなると思うんですよ。サヴァン症候群って言っても、ぜんぜん人と話せたりもするし。ただ、マモルが大変なのは、舞台で見えない部分を支えてるっていうことで。そこが本当に難しいところだと思う。

長江:稽古してて思ったのは、兄弟2人で1つだから「兄ちゃんが感じることは自分も感じる」というか。兄ちゃんがひどいことを言われたら、自分もその痛い感覚を持つのかなって。マモルは2人分まとめて傷ついてる気がするんです。

平間:いろいろわかったうえで「ストレスが溜まるのはお前のせいだ!」って思わず言っちゃうけど、実際には心にも思ってないみたいなね。そこまでいけば、もうマモルさんですよ(笑)。

長江:わぁ~この話、あと2時間ぐらいしたい(笑)。僕、反抗期ってなかったんですけど、この作品を通してはじめて経験してる感じですね。

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

プロフィール

PICK UP

関連記事一覧