中村誠治郎×神里優希×佐伯亮インタビュー 舞台『うたかたのオペラ』「挑戦をやめたらこのお仕事をやっている意味がない」(後編)
――本作のタイトルにちなんだ質問をさせていただきたいのですが、「うたかた」は「儚い(はかない)」という意味でもありますよね。実際に皆さんが儚さを感じる瞬間はどんなときですか?
神里:これはもう舞台そのものかなと思いますね。
佐伯:確かに。儚い、ですね。
神里:初日が開いて、千穐楽が終わって。もうその日限りでみんなとバイバイ。キャストの皆さんもスタッフの皆さんも。作品も終わるたびに「1ヶ月あんなに稽古したのに、それが儚く終わっていくな……」と感じます。でもそれがまた舞台の魅力でもありますね。
中村:うん、うん。
神里:毎回毎回思います。舞台は儚いなーって。
佐伯:そうですね……。
中村:全く同じメンバーで再演するのも難しいですもんね。もちろん同じメンバーで違う作品をやることもないし。
佐伯:ないですね。
中村:その一瞬しかないから、儚いよね。
神里:儚いと思います。
――お客さまにとっても、たった一回の公演ですしね。
神里:そうですね。何公演あったとしても。
中村:その日にしか観に来られないお客さまもいらっしゃるしね。
神里:たとえお客さまが何度も来てくださっていても、同じ席に座ることはあまりないじゃないですか。そんな奇跡起きることもないので。だから一公演一公演が本当に儚いなって。舞台は特に思いますね。
中村:千穐楽のときに実感するんだよね。この台詞、もう二度と言わないんだなって。
佐伯:あー、それ思います! 言った瞬間に「終わった」って。
中村:寂しさを感じる、その瞬間も儚いですよね。「この台詞、あんなに悩んであんなに一生懸命作ったのに、もう言えないんだな」とか。
神里:ありますね。
中村:僕は捌けた後とかに、もう一回確認したりするんですよ。「もうちょっとこういう言い方あったな」って。
神里、佐伯:分かる……!
中村:でもそのときに「あ、そっか。もう言わないんだった」って。
神里:「もうちょっとこうできたな」とか思いながら、もう言わない……。本当に儚いですよね。