キムラ緑子インタビュー 舞台『有頂天作家』「改めて声に出して台詞を読んだとき、以前の感じとは違うものになっていました」(後編)
――キムラさんは舞台のお仕事をしているとき、どんな瞬間が一番やりがいを感じますか?
稽古場が一番ですかね。あ、でもこんなこと言ったらお客さんに怒られちゃうかな(笑)。
お稽古はもう切磋琢磨するしかなくて、自分がどこまで行けるかだから、「自分自分自分……」という感じですね。キャストの皆さんと自分に集中するので、それが一番おもしろいかな。自分の成り行きを見届ける。「どこまでいけるのかな? 」って。混沌としているところから、お客さまに渡すまでの間を必死で生きている感じがとても好きです。
――一つの作品ごとに、どこまで自分が成長できるか。そのような感じでしょうか?
成長できているかは分かりませんが、その作品のものになる、その人になることへの挑戦みたいな感じですかね。それが面白いです。だから稽古場が面白くないと本当に辛いんですよ(笑)。それによって本番にもちょっと影響します(笑)。
こないだ、山崎育三郎さん、尾上松也さん、城田優さん(IMY)の『あいまい劇場 其の壱 あくと』に出させていただいたとき、稽古場が本当に楽しくて。そしたら、お客さまもとても楽しそうだったんです。こんな幸せな瞬間があるんだなと思って。本来お芝居って、これでいいのにと思いました。
もちろん苦しんで作る作品もありますよ。難しい作品は笑ってばかりいられないけれど、IMYのパワーやエネルギー、個性、魂……真っ直ぐなものに直に触れて、「本当のエンターテイメントって、こういうことでしょう」と実感して。そんなこと分かっていたはずなのに、改めて確認しましたね。お客さまが笑うことが楽しい、みたいな。胸がウワーッとなるじゃないですか。私たちが出るだけでお客さまもギャーッとなってくれて、そこに乗っかってまたこっちもギャーッとなる感じが、もうそれこそ劇場の有頂天ですよ。そこに自分がいれたことがとても楽しかったですね。
お客さまが望んでいること、作品を作る楽しさって、こういうことだったなと。だから今回も楽しくありたいんです。
――最後に、本作に対する意気込みとファンの方にメッセージをお願いいたします。
もうとにかくたくさんの人に観ていただきたいです! 私たちの準備はすでに整っております。これからも2週間くらい稽古してさらに極めるつもりなので、ぜひたくさんの人に笑って楽しんでもらいたいです。心に沁みる作品にして、皆さんにお届けしたいと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。
取材・文:矢内あや
Photo:くさかべまき
スタイリスト:松田綾子(DUE)
ヘアメイク:笹浦洋子
公演概要
《喜劇名作劇場》恋ぶみ屋一葉『有頂天作家』
作・演出:齋藤雅文
出演:渡辺えり、キムラ緑子、大和田美帆、影山拓也(IMPACTors/ジャニーズJr.)、春本由香、瀬戸摩純、長谷川純、宇梶剛士、渡辺徹 他
2022年1月15日(土)~28日(金)
京都・南座
2月1日(火)~15日(火)
東京・新橋演舞場
公式サイト:
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/minamiza_202201_02/
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/enbujo_202202/