末原拓馬インタビュー 劇団おぼんろ 第20回本公演『パダラマ・ジュグラマ』「世界に通用する演劇を作る」(前編)
――今回の「パダラマ・ジュグラマ」という作品は、どのような想いで作られたのでしょうか?
この作品の初演が8年前の2014年で、団体としても大きくなり始めていた時期でした。その当時から「世界で通用するものを作っていこう」と。ウィリアム・シェイクスピアのような「歴史に残るもの・定着していくものを作りたい」という気持ちが自分としては強くあったので、何度も上演され続けるものを作りたいという意識が強かったです。
そういう意味ではテーマを普遍的なものにし、世界観を誰が見ても自分のこととして捉えられるようにと、おうけらしい童話というテイストを大切にしようと思いました。
――今回は再演になるとのことですが、内容としては初演と大きくは変わっていないのでしょうか?
物語自体は同じものですね。ただ、演出に関しては全く違ったものになると思います。
――それはまた別の楽しみ方がありそうですね。また、演出と合わせてキャスティングに関してもこだわりはあったりしますか?
キャスティングは物語を作る上でとても大事なものだと思っています。誰がやるかによって、作品がいい意味でも悪い意味でも変わってしまうので、どういうチームで座組を作るかがとても重要だなと。でもあえて僕は「みんなで探して来よう」ということを提案させてもらって、そこで出来た”縁”に委ねようと思ったのです。
新しい世界を広げていくという意味で、僕たちのこれまでの人脈からは外れたいということを話しました。
――劇団以外のキャストの方が入ることで、何か期待されていることはありますか?
新しい感性、知識、感情、表現方法……例えば、一つの物語についてディスカッションすると、人によって考え方が全く違ったり、逆にどんな人でも同じところに行きついたりする部分もあります。そういうことを繰り返すことで物語の純度が高まることもあるかなと思います。
――稽古を重ねていくうちに、カンパニーとして出来上がってきている実感はありますか?
まとまりというよりは、同じ物語を繰り返していくうちに、深いところで繋がれる関係性が出来つつあるなと感じています。今回僕以外のキャストはダブルキャストでA、B、2チームという形ではなく、ステージごとにキャスティングを変え、12通りの組み合わせで行います。なので、尋常じゃないほど共通理解が強くないと駄目なんですよ。他の現場よりも心のつながりは強くなる必要があると感じています。