萩原みのりインタビュー 舞台『裏切りの街』「この作品を舞台でやることの意味を毎日感じている」(前編)
――本作で演じる鈴木里美という役柄への印象を聞かせていただけますでしょうか。
演じる前は「どういう子なんだろう」とベースを紙に書き出してキャラクター化してしまっていたのですが、今はそういったものを排除していっています。ちょっと猫背でどこかイモっぽくて田舎臭くて、自信があるんだかないんだか、というイメージでしたが、どういう子かというのをあまりあてはめない方が三浦さんの作品は面白いのかもしれないと思ってきているところです。
あとは、見てもらったお客さんの「里美はこういう子なのかな」という印象が、違えば違うほどいいのかなと思っています。実際に人に対する印象って、みんな違うじゃないですか。私のことをクールそうだと言う人もいるし、全然クールじゃないと言う人もいる。それでいいのかなと思っています。今回の作品はあまり”こういうキャラクター”とは決めずに、より人間らしく積み重ねていけたらいいなという思いで今準備しているところです。
――里美の恋人・菅原裕一への印象はいかがでしょうか。
一言で表すのはすごく難しいのですが、今は里美として裕ちゃんとお芝居をしているなかで、どんどん愛おしいという気持ちが増していますね。かっこわるいところが多いですけど、すごく優しいし、居心地もいいし。あまり変化がなくても、この日々が続くならこのまま変化がなくてもいいのかなと。
映像だと本番当日しかないので、その日その場で感じた空気をいつもあるかのように見せないといけないと思うのですが、舞台の稽古は毎日あるので、舞台のセットの中で里美と裕ちゃんの日々を積み重ねている感覚です。里美個人としても、稽古場の用意されているパイプ椅子よりも、セットに用意されているソファの方が居心地もいいですし。少しずつ自分のものになってきている感覚はありますね。
家の中にある小物一つとっても、見え方が違うし、初めて見る椅子がいつもある椅子になってくるので。どんどん居心地がよくなっていて、ここで生まれるお芝居は映像だと経験できないことだなと思っています。生活がどんどん見えてくるというか。それはやっていて面白いですね。
――里美の恋人・菅原裕一を演じる髙木さんはどういった印象でしょうか。
髙木さんは、ずっとスターだったはずなのに、全然スターに見えない(笑)。”裕ちゃん”でしかない瞬間がすごくたくさんあります。舞台セット上の同棲しているお家に本当に住んでいるかのようでソファに座っている後ろ姿が、ちゃんとだらしなくて、すごいなと思いますね。逆に歌っている姿が想像つかないくらい(笑)。
あと、吸収の仕方がすごく勉強になりますね。三浦さんに言われたことへの反応や次のアプローチの仕方をどんどん変えていくことが出来る方なので。自分が用意してきたものがこれだから! ではなく、言われたものに対してどんどん変化していく方です。あとは、現場での一番のムードメーカーだと思います。
――ムードメーカーということは、稽古場では髙木さんが中心にお話が弾むことが多いのでしょうか。
そうですね、誰に対してもすぐに質問しにいきますし。たまたまフランスパンを持っていた役者さんがいて、私も「フランスパン持ってるな」と思ってはいたのですが、わざわざ口に出さないじゃないですか。でも髙木さんは直接「フランスパン買ったんですか」とおっしゃっていて(笑)。そういう部分もすごいなと感じて。見ていていつもビックリします。
――稽古場での雰囲気も和気あいあいとしていそうですね。
稽古が始まる前までは、割と和気あいあいとしています。でも、始まった途端にみんなすごく真剣になりますね。全員緊張感がすごくて全然余裕がない感じはあります。10分休憩があるんですけど、体感1分くらいしかないので。あっという間に稽古が始まるみたいな感じです。
取材・文:THEATER GIRL編集部
Photo:くさかべまき
ヘアメイク:石川奈緒記
スタイリスト:伊藤信子
衣裳
ドレス ¥24,200(UNITED TOKYO/UNITED TOKYO 神宮前店 03-5962-6400)、
靴 ¥20,900(CITY/STUDIOS カスタマーサポート 03-6712-5980)
公演概要
パルコ・プロデュース2022『裏切りの街』
作・演出:三浦大輔
音楽:銀杏BOYZ
出演:
髙木雄也 奥貫薫
萩原みのり 米村亮太朗 中山求一郎 呉城久美 村田秀亮(とろサーモン)
*開幕後当面の間は、智子役は奥貫薫に代わって呉城久美が、
また裕子役は呉城久美に代わって日高ボブ美が演じます。
【東京公演】
3/12(土)~3/27(日)
新国立劇場 中劇場
【大阪公演】
3/31(木)~4/3(日)
COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
公式サイト:https://stage.parco.jp/program/uragiri2022/