原田優一×太田基裕インタビュー　ミュージカル『ダブル・トラブル』「お客様が入ってやっと、この作品の醍醐味が分かった」（前編）

2022.09.05

INTERVIEW

――前回の公演で気づいた、お互いの素敵なところはありますか？

太田：原田さんは素敵なままですね。初めてお会いしたのは、演出家の原田さんとしてご一緒させてもらって、そのときから素敵でしたけど。

原田：いやいや。

太田：とても優しいんですけれど、優しいだけではなくて、客観的に的確に指示を出してくれて、それが本当に勉強になります。原田さんが持っていらっしゃるコメディセンスが、僕は好みで本当に面白いなと思うので、兄役が原田さんで心強かったですし、甘えさせてもらったなと。

原田：もっくんは何というか、近づいてくれるんですよね。人懐っこいという意味ではなく、ぐんと近くに来てくれるんですよ。お芝居をやっていても、物理的な距離感というよりは、懐に入ってきてくれる弟感といいますか。兄弟として演じるというのは、生まれてからずっと一緒に育ってきている役なわけで。それを別々の環境で育ってきた他人同士で演じなければいけないのが役者なのですが、稽古場で本当に兄弟だったかのように距離感をぐっと縮めてくれるのが、とても僕はありがたかったです。

――稽古のときから、とてもいい距離感でお芝居ができたんですね。

原田：でもこれがまた面白くて、舞台上ではとても距離が近いんですけど、一度舞台を降りると、またそれぞれのベースでやっていくのが楽だな、と。ずっと近いままでいない感じがね。

原田さんがドシッと構えてくれていた、「先輩の安心感がありました」

――今回、他チームの稽古の様子はお互い見ずに、進めていくのでしょうか？

太田：今回も別々に、という形だと思います。前回は片方のチームがやっているときに、もう一つの部屋でこちらも必死に稽古している感じでした。あまりお互いに共有する時間はなかったですね。でも稽古場から、声は聞こえてきたりして、「こういうふうにやっているのか」っていうのはなんとなく（笑）。

原田：僕たちが休憩するときに、隣でやっているじゃないですか。ついつい見に行っちゃいそうになるんですよね。このシーンどうしているんだろう、って。でも見てしまったら、「絶対に惑わされる、やめとこう」と戻った記憶があります（笑）。

太田：こっちはこっちだ！　って感じでね。

原田：でも心は揺れちゃいますね（笑）。

――お互い気になってしまうのですね。

原田：やっぱりジャニーズの方々はダンスの覚えが早いんですよ。だからちょっと焦ってしまうのですが、「こっちはこっちでコツコツやろう」と頑張っていました。

太田：僕は結構焦っていましたが、原田さんがドシッと構えてくれているので。やっぱりそこは先輩の安心感がありましたね。

原田：いつも「大丈夫、大丈夫！」と言い合いながら。でも最後だけ「あ、やばくなってきた。巻いていこうか」って（笑）。

前回のハリウッドチームとブロードウェイチームのときと一緒で、幕が開いてから、お互いのチームの違いを発見するのが楽しみです。前回のときは本番に入ってからも（もう一つのチームの公演を）観ていなくて、ブロードウェイチームが千穐楽を迎えて、その夜にハリウッドチームの公演で、そこで初めて観たんですよね。我々が昼に終わって、夜そのまま劇場に残って観劇して、「こうなっていたんだ」と思って。

自由度が大きい部分、自分がどのようにやりたいか選択肢がたくさんある作品だと思います。想像つかないからこそ、SEASON ABCがある所以といいますか、いろんなチームがある面白さだと思いますね。

取材・文；矢内あや
Photo：くさかべまき

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