アダム・クーパー インタビュー「劇場にいる3時間だけでも幸せを感じてもらえたら」『SINGIN’ IN THE RAIN~雨に唄えば~』(前編)
――3回目となる日本公演ですが、アダムさんはどのような気持ちで今回の舞台に取り組まれていますか?
とにかくexcited! 本当にワクワクしています。先立って夏にロンドン公演を行ったのですが、そのためのリハーサル期間がとても長く時間を取れたんです。こんなにたくさんリハーサルをしたのは10年前の初演のお稽古時以来だったので、まるで新しい作品に挑戦するかのようにお稽古ができました。振付も少し変わっていて、今までよりもいい感覚といいますか、手応えがありますね。
新しいアプローチがたくさんできたので、発見もいろいろとありました。今回の公演は、今までの中でもベストバージョンだと思っています。キャストも素晴らしい方々がそろっていますので、お客さんの反応も今までで一番になるのではないかなと。
どしゃぶりの雨の中歌い踊るあのシーンは、水も振付の一部
――『SINGIN’ IN THE RAIN~雨に唄えば~』といえば、やはり一番心を動かされるのはアダムさんがどしゃぶりの雨の中で歌い踊るシーンですよね。あふれる生命力やパワーが伝わってきてとても感動する場面ですが、ご自身ではどんな思いでやっていらっしゃいますか?
あのシーンは、いろいろなことを感じています。まず、キャシーとドンとの関係が確固たるものになっていく瞬間なので、この作品の中で一番喜びが大きい場面でもあります。
それと素晴らしい振付も魅力的ですね。たくさんの水があり、その水も振付の一部になっていたり、お客さんの反応もあのナンバーの一部になっていたり。そういう意味では今まで体験したことのないものだったので、毎回このナンバーはとても楽しみです。
実際問題として、 自分はとても濡れますし、濡れることによって衣裳が重くなるので、物理的、身体的に大変ではあります。それでもこのナンバーができる喜びは何にも勝るんです。それを皆さんと共有できる感覚が、もう本当に大好きで! いつも楽しみにしているナンバーです。
――水しぶきも踊っているように魅せるというのは、何かアダムさん的なコツがあるのでしょうか?
たくさんの練習が必要です。でもずっとやっているので、慣れてきました。もしかしたら僕の脚が、水しぶきを上げるのに向いている脚なのかもしれません(笑)。
2011年にイギリスのチチェスター・フェスティバル劇場で初演をしたときは、今と少し状況が違っていて、床の一部が滑りやすかったので自分もよく転びました。かなり気を付けながらやらなければいけなかったんですね。しかし、今では床がだいぶ改良されまして。もちろん踊りと水は全くいいコンビネーションではないので、常に気を付け続ける必要はあります。それでもそのときよりはずっと自由にできるようになりました。なので、水をいい感じで動かして、素晴らしい水しぶきを作れるようにその瞬間を探しながらやっている感じです。