鞘師里保インタビュー 舞台『スルメが丘は花の匂い』「不安なところに飛び込むことが、私にとっては楽しみ」(前編)
――今回スルメ姫のクロエは演じるうえで、どんなところがポイントだと感じていらっしゃいますか?
クロエは「スルメ姫」というシンデレラのような物語の主人公として生きることを運命づけられた女の子です。そのため、周りから「スルメ姫」として扱われてきて、両親もすごく大切に育ててきてくれて。そういうところから滲み出る、箱入り娘感があると思います。
吉岡さんが演じられる緑は、現実世界から来た女性ということで、女性としてはお互い変わらない存在ですが、今まで住んできた世界の違いによって生まれる、一緒に並んだときの違和感のようなものは大切にしながら演じるようにしています。
――緑とクロエの住む世界は全く違いながらも、「スルメ姫」という物語の中でも、今現在の方々にとってもリンクする価値観があったり、そういった描き方がすごく斬新ですよね。
そうですね。私もクロエの住んでいる世界は現実にあるものではないと思ってはいます。でも、「お姫様になる」と運命づけられたシチュエーションって、現実に置き換えてみたら、いわゆる世間で言う「大学に進学して就職するのが偉いよね」みたいな。
なんとなく思われているような人生の歩みといいますか、「家族にこうやって期待されているから、こういうふうにならなきゃいけないのかな」とか。それってもしかしたら感じなくてもいいプレッシャーかもしれなくて。自分は「こうしたい」と思っているのに、みんなが「こうしたほうがいいよね」と思われていることとか、そういった周りとの価値観のズレみたいなものは重ねて見ていただける部分があるのかなと思っていて……。だからなんていうか、すごく不思議ですよね。
――お客さまの反応も気になりますよね。実際に観て、何を感じていただけるか。
そうですね。もちろん、吉岡さんが演じる緑に対して、皆さんが投影できる部分もすごく多いと思います。けれども、スルメが丘に住むキャラクターに関しても、共感していただける部分があるんじゃないかな、と思ったりしますね。
取材・文:矢内あや
Photo:野村雄治
インタビュー後編はこちら
公演概要
パルコ・プロデュース 2022『スルメが丘は花の匂い』
2022 年 7 月 22 日(金)~31 日(日)
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
作・演出:岩崎う大(かもめんたる)
出演:吉岡里帆/伊藤あさひ・鞘師里保/岩崎う大 牧野莉佳 もりももこ 小椋大輔/ふせえり
企画製作=株式会社パルコ
入場料金:8,500 円(全席指定・税込)※U-25 チケット=5,000 円
※未就学児入場不可
地方公演日程:
<大阪公演>
2022 年 8 月 6 日(土)~8 月 7 日(日)
松下IMP ホール
<福岡公演>
2022 年 8 月 11 日(木・祝)
久留米シティプラザ ザ・グランドホール
<広島公演>
2022 年 8 月 12 日(金)
JMS アステールプラザ 大ホール
<高知公演>
2022 年 8 月 14 日(日)
高知県立県民文化ホール オレンジホール
<愛知公演>
2022 年 8 月 17 日(水)
東海市芸術劇場 大ホール
<福島公演>
2022 年 8 月26 日(金)
いわき芸術文化交流館アリオス 大ホール
公式HP:https://stage.parco.jp/program/surumegaoka