• HOME
  • topic
  • INTERVIEW
  • 浦井健治インタビュー ミュージカル『COLOR』「人生は気付きや発見の連続、そのきっかけが見つかるような作品に」(前編)

浦井健治インタビュー ミュージカル『COLOR』「人生は気付きや発見の連続、そのきっかけが見つかるような作品に」(前編)

INTERVIEW

――成河さんとはすでに親交があるとのことなので、今更の質問になってしまうかもしれませんが。成河さんの印象について聞かせてください。

成河という名優、俳優ではなく名優です(笑)……を目の当たりにしたことがある人はたくさんいると思うんですが。僕も彼の『夏の夜の夢』のパックや、『100万回生きたねこ』のねこ、あるいは劇団☆新感線さんの中で立ち回っている成河を観てきました。会話劇の中で論破していく姿や、政治的な意見を発するような問題劇に出演しているのも観てきましたし、今は作劇や演出もしている、そういうクリエイティブな一面も知っています。身体能力が高くて、愛嬌があって、頭脳明晰で何事からも逃げることなく果敢に挑んでいく。そういう姿が僕にはすごく清々しく感じられるんです。本当にピカイチですね。台詞回しや身体能力においては、我々世代の中では飛び抜けて……というより、レベルが違いすぎる、といった俳優さんなんですが。それを感じさせないようなフレンドリーさがあるんですよね。

――始めに名優と仰った理由が分かった気がします。

頭の回転も速いし、社会全体や、演劇やミュージカルにとどまらずこういった文化に対して、何かしらの思いを持っている人なんです。そういう存在がいてくれるとすごく刺激にもなるし、自分を振り返るきっかけをもらえたりしますし。一緒にいるだけでアクティブになれたり、明るい気持ちになれたり、反省したり。そういった経験をさせてくれる人だなと思っています。

「役を作らないほうが逆にいいんじゃないか」台本作りから関わるからこその思い

――役作りの面においては、成河さんと協力しながらという面も出てくるのではと思いますが、どのようにして臨みたいと思われていますか?

これについては、まず台本を作る段階から、読み合わせを通して「自分はこう思う」と発言できる時間をいただいて、全員で作っている状態なので。“役を作る”ではなく、まずは台本を作っています。(坪倉さんは)今も講演会をされている方なので「結果としては講演会を聴けばいいんじゃないか」とならないように、ミュージカルとして届けるからこそ、の内容にしたい、と(演出の)小山ゆうなさんも仰っていて、まさに今創り上げているところ。なので、今は役を作らないほうが逆にいいんじゃないかなと、直感では感じています。

――台本の読み合わせは、単に読み合わせるのではなく、それを通してみなさんで脚本をブラッシュアップしていく作業だったんですね。

そうですね。第6稿あたりまで作っていただいた台本を、キャストも入って声に出してみて、感じたことを全員でざっくばらんに、本当に分け隔たりなく話し合って。今はまた崩して書いていくという段階になっているんじゃないかと思います。(取材時)

濱田さん&柚希さん、母役のおふたりの印象

――浦井さんが“僕”を演じられる際の母役は、柚希礼音さんが務められますね。共演は今回が初めてとのことですが、印象について聞かせてください。

トップスターさんですし、柚希さんが背負ってきたものは計り知れない大きなものなんだろうなと思ってます。共演したことのある知り合いも多いので、いろいろお話も聞いているんですが、実際にお会いしたのは2回だけで、まだそこまでお話もできていないので、どんな方なのかはあまり分かっていないんですけれども。温かな感性を持った、すてきなトップスターさんなんだろうなというのは感じています。

――もう一人の母役を演じられる濱田めぐみさんとは親交が深いとおっしゃっていましたが、同じ作品を作り上げる仲間として、とても心強いですよね。

本当にそう思います。先日の読み合わせの時にも、率先して意見を述べていて。これまでにそういう姿を僕は見たことがなかったんですが、劇団四季時代から第一線を走り続けている濱田めぐみという大女優の片鱗を見た気がしました。自分の信念を持っていて、それを裏付ける唯一無二の歌声と、お芝居の質感。いつ観ても新鮮さのある女優さんです。不思議な魅力というか、不思議な吸引力を持ったハマメグがいてくれるのは、すごく心強いですね。ただ組み合わせの妙で、僕が舞台上でハマメグに会う時には“ぼく”ではなく、“ぼく”の中にいろいろな刺激を残していった“大切な人たち”としてなので、「ここを一緒に歌うことはないんだね」というような残念さはあるんですけれども。

――濱田さんが演じられるのは、成河さんの“ぼく”の母親なんですよね。

でも逆に、夫婦としてだったり、母親から見て“ぼく”に影響を与えてくれた友達だったり、本の編集者だったりと、さまざまな人物としてハマメグと絡めるというのは、“ぼく”として絡むよりも実は絡みがいがあるんじゃないかなと思っています。

取材・文:古原孝子
Photo:野村雄治

インタビュー後編はこちら

公演概要

ミュージカル『COLOR』

2022/9/5(月)~9/25(日)
新国立劇場 小劇場

キャスト (五十音順):
浦井健治  ぼく/大切な人たち
成河     ぼく/大切な人たち
濱田めぐみ 母
柚希礼音  母

スタッフ:
原作:坪倉優介「記憶喪失になったぼくが見た世界」
音楽・歌詞:植村花菜
脚本・歌詞:高橋知伽江
演出:小山ゆうな
編曲・音楽監督:木原健太郎
振付:川崎悦子
美術:乘峯雅寛
照明:勝柴次朗
音響:山本浩一
映像:上田大樹
衣裳:半田悦子
ヘアメイク:林みゆき
ボーカルスーパーバイザー:ちあきしん
演出助手:守屋由貴/野田麻衣
舞台監督:加藤高

公式サイト:https://horipro-stage.jp/stage/color2022/

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

プロフィール

PICK UP

関連記事一覧