上田堪大インタビュー 『ブルーキャットエレジー』 「メインとなる楽曲は、自分のカラーからはみ出したものがいい」(後編)
――二幕では、上田さん演じる雪白 東が主演でしたが、役作りで工夫したことや、劇中劇『真夜中の住人』でメインの役柄を一緒にやられた、高遠 丞役の北園涼さんと一緒に取り組んだことなどがあれば教えていただけますか。
さっきの話ですけど、涼がもともと『荒野行動』をやってたんですよ。だから、一番仲良くなりたいし、丁度いいなと思って(笑)。じつは、冬組5人の中で一番出会いが古いのは涼なんです。まだ、舞台出演が多くない時にワークショップで出会って、そこからお互い名前だけは覚えていて。ほかの3人とは、共演もあったりしたんですけど、はっきり言うと、涼は一番“距離があった人”なんですよね。
それで、もっと仲良くなるためにはどうしたらいいか考えて、一緒に『荒野行動』をやってみたり。あいつのインタビューを読んだりもしたんですけど、「芝居のことはあまり話したくない」みたいに話していて。面白いなと思いましたね。
だから稽古中でも、“一種の勝負”という感じでした。「どんな風に来るんだろう。じゃあ、来たものを返そう」という感じで。芝居のことは、ほぼ話してないですね。どうしても劇中劇だと尺が決まっているので、セリフのない芝居のところで、「ここのカウントのときはこうしよう」というのはありますけど、「決め打ちでこうしよう」というのは一つもなくて。
だから、「今日はどんな感じで来るかな」と。すごくマッチしてるときと、逆に全然してなくて合わせにいくときもあったりして。僕が、「今日はガッと来て」と思っても来ないとか。もちろん、逆もあったと思うんですけど。だからそれを楽しみつつ、「来ないなら来ないで、じゃあ俺はこう返すよ」みたいな感覚でやっていました。でも、一緒にやっていて普通に一番楽しかったですね。
――『荒野行動』で仲を深められたこともやっぱり大きかったんですね。
そうですね。だから、逆にいろいろ言いやすくなったっていうのはあります。僕が一番年上だし、「気を使わなくていいよ」って言っても、やっぱりみんな(気を)使っちゃう部分もあるじゃないですか。(涼は)一番礼儀がしっかりしているタイプで、いまだに“さん付け”で敬語を使ってるんです。荒牧慶彦と植田圭輔なんて、「堪ちゃん」呼びでタメ口でしか喋ってこないですからね(笑)。だから、“仲がいい”のベクトルが違うというか。別にそれが悪いわけではなくて、それはそれで良いことだと思うんですけど。