瀬奈じゅんインタビュー 舞台『検察側の証人』「憧れの作品に出演できると聞いて、思わず鳥肌が立った」
――本作は緊迫感溢れる応酬と、観客の度肝を抜く展開が待ち受けていますが、瀬奈さんが「これは度肝を抜かれた」、「これはびっくりした」というエピソードがありましたら、ぜひ教えてください。
度肝を抜かれたのは、やはり宝塚時代に経験したことですかね。トップスター就任、組替え、さらに『エリザベート』という作品でエリザベート役を演じるということを同時に言われたときでしょうか。本当にびっくりしました。
――1つでもびっくりするような出来事が、いきなり3つも瀬奈さんの身に訪れたという感じでしょうか?
そうですね、一気に全部来ました。「え? どういうこと?」と軽くパニックになってしまい、しばらく思考回路が追いつかなかったです(笑)。
映画や本は「結末を知ってから見るのが好き」
――本作はミステリー作品になりますが、瀬奈さん自身は普段ミステリーにご興味はありますか?
『検察側の証人』は大好きなのですが、ミステリーはドキドキしすぎてしまって心臓に悪いので、あまり得意ではなくて(笑)。周りの方に「これ面白いよ」とミステリー小説をおすすめされたら、最初に結末を見てしまうんです。
ラストの展開を知ったうえで、「この人はなぜこういう行動をしているのだろう」、「このときはどういう気持ちなのだろう」と考えながら見るのが好きなので、ミステリーに限らずですが、結末を知ってから見るのが私ならではの楽しみ方です。映画でも本でも。
――え! 最初に結末を読んでから、冒頭に戻るのですか?
そうですね、ちょっと変わっているかもしれませんが(笑)。
――途中で登場人物の心情など、考察しながら見るのが瀬奈さん流の楽しみ方なんですね。ちなみにミステリー以外ですと、どんな作品がお好きですか?
ジャンルでいうと、ドキュメンタリーの本が好きです。その方が経験したことや、感じたことなどを疑似体験できるのが面白いなと。ドキュメンタリーに関しては、最初から順を追って読みます(笑)。
「お客様に感動が伝わる瞬間」は一番幸せなひととき
――瀬奈さんが普段役者のお仕事をしていて、一番幸せを感じる瞬間はどんなときですか?
今はなかなか難しいですが、お客様の笑顔、拍手、歓声など……そういった生の反応に触れたときに一番幸せを感じます。ステージに立ってお客様に感動が伝わる瞬間は、何にも代えがたい感動に値しますね。
コロナ禍でライブ中継や無観客の公演も多くなってしまって……もちろん仕方のないことですので、現在においてベストなやり方ではありますが、やはりお客様と触れ合えないのはとても寂しく感じます。
――最後に、本作への意気込みをお願いします。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、いつどうなるか分からない状況だとは思いますが、私たちに今できることを精一杯お届けしたいと思っています。決して無理はなさらず、できる範囲で楽しみにしていただければうれしいです。
取材・文:THEATER GIRL編集部
Photo:青木早霞(PROGRESS-M)
公演概要
『検察側の証人』
作:アガサ・クリスティ
翻訳・演出:小川絵梨子
[出演]
小瀧 望(ジャニーズWEST) 瀬奈じゅん/大滝寛 浅野雅博 寺西拓人 斉藤直樹
林 愛夏 西川大貴 阿岐之将一/那須佐代子 梶原 善/成河
[日程・会場]
【東京公演】
日程:2021/8/28(土)~9/12(日)
会場:世田谷パブリックシアター
【兵庫公演】
日程:2021/9/16(木)~9/20(月・祝)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【大阪公演】
日程:2021/9/23(木・祝)~9/28(火)
会場:枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール
公式サイト
https://www.kensatsugawa.com/
あらすじ
物語は、容姿端麗な青年レナード(小瀧 望)が資産家で独り身の婦人を撲殺した殺人容疑で起訴されるところから始まります。彼は全くの無罪を主張しているものの、状況証拠は彼に不利なものばかり。
――道で困っている婦人をレナードが助けて以来交流が始まったこと、事件当日も被害者宅を訪ねていたこと、事件当時、彼は無職で金に困っていたこと、そして、彼には確実なアリバイが無いこと――。
レナードはあえなく逮捕され、敏腕検事のマイアーズ(成河)が事件を担当することに。
彼を裁く法廷が開かれ、法廷弁護人と検事の答弁が白熱の応酬となる中、唯一のアリバイを妻ローマイン(瀬奈じゅん)が証言する、はずだった。しかし、法廷に立った彼女が口にした言葉は、彼から『婦人を殺した』と告白された、という検察側の証人、としてのものだった……。