萩原みのりインタビュー　舞台『裏切りの街』「この作品を舞台でやることの意味を毎日感じている」（後編）

2022.03.10

INTERVIEW

――初日を迎えるのは楽しみと不安どちらが大きいでしょうか。

私はあがり症で、人前が本当に苦手なんです。映像の場合はカメラとかスタッフさんしかいないので大丈夫なんですけど。私の人生で、多分新国立劇場中劇場ほどの人の前に立ったことがなくて。本番初日に舞台の上に立った時にどう思うのかが想像もつかないです。とにかく震えないようにどうしようかなと思っているんですけど……。

先日髙木さんにそのことを相談したら「俺は人がいっぱいいればいるほどテンションが上がる」っておっしゃっていて、さすがだなと思いましたが、全然参考にならなかったです（笑）。

――本作での主人公は「人生から逃げている」という部分が見られますが、萩原さんが疲れて逃げ出したいと思った時のリフレッシュ方法はありますでしょうか。

コロナ禍前は、サウナへ週に3～4回行っていました。そこでは携帯やテレビもなにもない状態で、自分の心とだけ向き合える時間を作れる場所だったんです。でもなかなかコロナ禍で行けなくなってしまったので、自分の気持ちをポジティブに変換できる場所がなくなってしまって。

それ以降はお酒や甘いものとかカップラーメンとか、炭水化物を3食なにも気にせず食べるとか、普段我慢しているものを許すようにしています。「もう食べたくない」となるくらいたくさん食べると「あ、やってしまった」と思うんですよね。そうすると次の日から「昨日やっちゃったし、頑張ろう」と思える。一回自分をちょっと後悔させることで、次の日に前を向けるようにする。コロナ禍以降はそんな感じですかね。

――萩原さんが役者のお仕事をしていて、やりがいや楽しさを感じる部分を教えてください。

作品を作っている間は、正しかったのか分からないままで、答えも達成感も「できた！」と思えることもなかなかないんですけど、それがお客様に届いて、お客様からいろんな感想をいただいたり、昔出会った方とまた一緒にお仕事するという時に「続けていてよかったな」と思います。

いろいろ頑張って積み重ねてきたものを、久しぶりに会った方に褒めていただけると間違っていなかったのかなと思えますし。そういうところで少しずつやりがいを見つけている感じです。自分のなかだけだと完結できないものだなと、すごく感じています。

――それでは最後に、本作への意気込みと楽しみにしている方々へメッセージをお願いします。

この作品の映画を観た時には久しぶりに声を出して笑ったなと思うくらい面白かったのですが、自分自身が演じてみると「あれ？　もっと面白くて楽しい作品だったのに。なんで私今こんなに苦しいんだろう」と思うくらい難しいことが多いです。でも、必死だからこそ、客観的に見た時にすごく面白かったんだと気付きました。私も自分自身がお客さんとして観た時に感じた楽しさを、これから観ていただく方々にたくさん感じていただきたいです。

2022年版になったことによって、ちょっとずつ手の加わった新しい部分もあるので、今まで知っている方にも、またちょっと違った見え方がするのかなとも思っています。一度中止になったからこそ、みんな思い入れも強く、毎日稽古しているのでぜひ劇場で観ていただけたら嬉しいなと思っています。