演出家・荻田浩一×元吉庸泰対談インタビューミュージカル『EDGES ―エッジズ―』個性の異なる２チームそれぞれの魅力とは（後編）

2020.12.03

INTERVIEW

――『EDGES ―エッジズ―』というタイトルにはどんな意味が込められていると思いますか？

元吉：自分を形作っているものはなんだろうというか。自分のEDGESが明確だと、安心するじゃないですか。だから人は、「こういう見立てである、こういう職業である、こういう場所に住んでいる」みたいに、いろんなEDGESを自分に作ろうとすると思うんです。それで、いろんなEDGESが重なっていくことがある意味“ライフ”だと思っていて。ただ、複雑になっていったり、重くなっていったりEDGESが重なっていくと、より僕らはわからなくなるじゃないですか。そういうものがこの曲の中にだんだんと重なっていくのでは、という捉え方をしています。

じつは、“EDGE”という言葉が英語ではすごくポジティブな意味に捉えられているんですよね。だから、そのポジティブな意味として、その側を得た若者たちが、この歌の中でその側をどうするのか、もっと着ちゃうのか、脱いじゃうのか、みたいなことを試していけたら、という意味でのEDGEだと思っています。。ある意味で、このミュージカルは劇場という枠に捉えられたEDGESでもあるということを思いながら稽古にあたっています。

荻田：僕も似たようなところではあるんですけど、側面というか、断面かなと思っていて。人体模型とかどら焼きでもいいですし、その断面図というか。だから、曲ごとにキャラクターの心の断面を見せるみたいな。ただのコッペパンかと思ったらいろんな具材が入っていて、曲の進行とともにいろんな断面を見せていく感じで。

エッジーって割と格好良い系の言葉で使われると思うんですけど。それとは少しイメージが違っていて。その断面をさらけ出すことによって、当たり障りなく世の中を生きている人間の中にも、とんがった部分や、もやもやした部分があるんだよと。最初に、全曲が “他愛のない話”と申し上げたんですけど、その他愛のない話を語る、ありふれた人々が見せる“心の中の複雑な断面”というのが見えればいいんじゃないか、そういうタイトルなんだろうなと思います。

――最後に改めて今作の見どころをお願いします。

荻田：うちは「目指せ、綾小路きみまろ」ということで（笑）。一曲一曲、本当に他愛のないことに七転八倒する、人々の体感を楽しんでもらいたいと思います。その分やっぱり作りはシンプルで、中身は複雑な味わいになっていけばいいかなと。それをこれからキャストの皆さんと一緒に作っていきたいと思っています。

元吉：うちのチームは、4人の俳優がなにを選んでいくのかということが、見どころであり、これからの稽古で、単純に僕が楽しみなところです。選択肢が多いということを、稽古場ではどんどん出していこうと思っていて。本番が開けたとしても、彼らが一体何を選んで、どういう風にお客さんがそれを捉えてくださるか、それが一つの見どころというか。そこをちょっと探ってもらえたら、さらに楽しんでいただけると思います。

取材・文：THEATER GIRL編集部

インタビュー前編はコチラ

荻田浩一

元吉庸泰

公演概要

シーエイティプロデュース　
ミュージカル『EDGES －エッジズ－』

作：ベンジ・パセック＆ジャスティン・ポール

会場：新国立劇場中劇場

チームBLUE：12月3日(木)～6日(日)
演出：元吉庸泰
音楽監督：園田　涼　
出演：太田基裕　矢田悠祐　増田有華　菜々香
演奏
ピアノ：松井トモコ
シンセサイザー：桑原まこ
パーカッション：野崎めぐみ／吉田開（12/3）
ギター：大月文太

チームRED：12月7日(月)～10日(木)
演出：荻田浩一
音楽監督：奥村健介
出演：林　翔太　藤岡正明　実咲凜音　梅田彩佳
演奏
ピアノ：中原裕章
ギター：YUTAKA
ベース：瀬戸圭介
ドラム：李令貴

料金：指定9,000円
U-22チケット4,500円(22歳以下対象・枚数限定）
※価格は税込み　※未就学児入場不可

プレイガイド：
【チケットスペース】
　TEL：03-3234-9999（平日 10：00〜12：00／13：00〜15：00）
　https://ticketspace.jp/
【チケットぴあ】
　TEL：0570-02-9999（Pコード：503-851）
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